役員報酬と社会保険料の関係:最適な設定方法

NISA・保険

役員報酬と社会保険料の関係について、最適な設定方法を考える際のポイントをまとめてみます。

まず、よくある誤解の一つとして、「給与が上がると社会保険料の負担も増える」というものがあります。しかし、実際には給与が増えるほど社会保険料の負担率は減少する仕組みになっています。社会保険料は給与の約15%が目安ですが、月給が66万円を超えると厚生年金の上限に達し、そこから先は負担率が下がるように設計されています。このため、役員報酬を設定する際には、ただ単純に「給与を増やせば良い」というわけではなく、社会保険料の負担率を考慮したバランスが重要です。

次に、給与と賞与のバランスについてです。役員報酬を設定する際、給与を低く設定して、その分を賞与として支給する方法が有効です。こうすることで、社会保険料の負担を大幅に削減できます。なぜなら、健康保険では報酬が573万円を超える部分には保険料がかからず、厚生年金についても1回あたり150万円を超える部分には保険料が適用されないという優遇制度があるからです。高額な報酬を受け取る場合、この上限を活用することで、社会保険料の負担率を低く抑えることが可能です。

ただし、社会保険料の負担を削減した場合、注意すべき点もあります。それは、社会保険料が減った分だけ税金が増える可能性があるということです。給与から社会保険料を差し引いた金額に対して税金がかかるため、結果として手取り額が期待したほど増えないこともあります。税金と社会保険料のバランスを考えて報酬を設定することが大切です。

また、高所得者の社会保険料負担についても触れておきましょう。例えば、月額200万円の報酬を受け取る場合、社会保険料の負担率は4.43%まで低下します。これは、健康保険と厚生年金の上限に達することで、それ以上の負担増加が抑えられるためです。したがって、高所得者ほど賞与を効果的に活用することで、社会保険料の負担を大幅に削減できるというメリットがあります。

さらに、確定拠出年金(企業型)の活用も検討すべきポイントです。確定拠出年金は、給与の20%まで(上限40万円/月)を積み立てることができ、その積立額は課税対象外となるため、税金の面でのメリットがあります。ただし、長期的な視点で考えることが重要です。例えば、退職までの期間が10年以内であれば、確定拠出年金を活用する方が有利ですが、10年以上ある場合は手取りを増やして他の資産運用を考える選択肢もあります。

それでは詳しく見ていきましょう。

1. 社会保険料の負担と給与の関係

  • 一般的な誤解:
    • 「給与が上がると社会保険料の負担が増える」というのは誤解です。実際は、給与が増えるほど社会保険料の負担率は減少します。
  • 社会保険料の計算方法:
    • 給与に対する社会保険料の割合は約15%です。
    • 月給66万円までは社会保険料が増加しますが、66万円を超えると厚生年金の上限に達し、負担率が減少します。

2. 役員報酬と賞与の最適化

  • 給与と賞与のバランス調整:
    • 給与を低く設定し、残りを賞与として支給することで、社会保険料の負担を大幅に削減することが可能です。
  • 賞与の優遇制度:
    • 健康保険は573万円を超える部分には適用されません。
    • 厚生年金は1回あたり150万円を超える部分には適用されません。
    • これらの上限により、高額報酬者の社会保険料負担率が低下します。

3. 税金と手取りの関係

  • 社会保険料と税金のトレードオフ:
    • 社会保険料が減少すると、その分税金が増加します。給与から社会保険料を引いた額に税金がかかるためです。
  • 手取り額の変化:
    • 社会保険料の削減額ほど手取りが増加しない場合があり、税金の増加により純増加額は予想より少なくなります。

4. 高所得者の社会保険料負担

  • 月額200万円の場合の例:
    • 社会保険料の負担率が4.43%まで低下します。健康保険と厚生年金の上限に到達することで、負担増加が抑えられます。
  • 賞与活用の重要性:
    • 高所得者ほど賞与を活用することで、社会保険料負担を大幅に削減することが可能です。

5. 確定拠出年金(企業型)の活用

  • 確定拠出年金の仕組み:
    • 給与の20%まで(上限40万円/月)を積立可能で、積立額は課税対象外となるため税金面でメリットがあります。
  • 長期的視点での検討:
    • 退職までの期間が10年以内の場合、確定拠出年金が有利です。しかし、10年以上ある場合、手取りを増やして資産運用する選択肢も考慮するべきです。

以上の点を総合すると、役員報酬の設定は、単に高い給与を設定するだけではなく、社会保険料の負担率や税金とのバランス、賞与の活用、確定拠出年金の利用など、さまざまな要素を考慮して最適なプランを組み立てる必要があります。これらのポイントを押さえながら、自身の報酬設定を見直すことで、効率的な資産形成を図ることができるでしょう。