役員報酬と役員賞与の比較

役員賞与・役員報酬

役員報酬とは会社の役員に対して毎月支払われる給与のことです。一方、役員賞与は年に1回から2回程度支払われるボーナスのようなもので、役員報酬とは別に設定されるものです。

  • 役員報酬⇒毎月支払われる給与
  • 役員賞与⇒年に1回から2回程度支払われるボーナス

それぞれにメリット・デメリットや税金、社会保険料への影響があるため、どちらを重視するかは会社の方針や役員の生活設計に大きく関わってきます。それでは詳しく見ていきましょう。

役員報酬とは?役員報酬の基本

役員報酬の支給ルール

役員報酬は事業年度の開始から3ヶ月以内に決める必要があります。

いったん決めたら1年間は同じ金額を払い続けなければならず、途中での変更はできません。次の年度に変更する場合も4月から6月の間に限られます。これには理由があり、役員報酬を頻繁に変更すると、税務上不正を疑われるからです。

役員報酬の支給ルール

  • 役員報酬は事業年度開始から3ヶ月以内に決定する必要がある。
  • 決定後は1年間同額を支給し続けなければならない。
  • 変更は次の事業年度の4月から6月の間にのみ可能。

社会保険の負担

社会保険料の負担も考えておかなくてはいけません。たとえば、月に100万円の役員報酬をもらう場合、年間の社会保険料の負担は約140万円にもなります。さらに、この社会保険料は会社と役員自身の双方で負担しなければならないため、会社の資金繰りにも影響を及ぼします。

社会保険料の負担

  • 月100万円の役員報酬の場合、年間の社会保険料は約140万円。
  • 社長自身が会社の負担も含めて二重に負担する形になる。
  • 社会保険料の負担が大きく、資金繰りに影響を与える。

役員報酬のメリット・デメリット

役員報酬のメリットは、毎月安定した収入が得られるという点です。一方、デメリットとしては、社会保険料が高くなり、会社の資金繰りに負担がかかる可能性があることです。

役員報酬のメリット・デメリット

  • メリット: 定期的な収入が得られる。
  • デメリット: 社会保険料が高く、資金繰りが厳しくなる可能性がある。

役員賞与とは?役員賞与の基本

役員賞与の支給方法

役員賞与は年に1回または2回支給するのが一般的です。会社によっては、役員報酬を低めに設定し、賞与で収入を補うという方法をとることもあります。

役員賞与の支給方法

  • 役員賞与は年に1回または2回支給されることが一般的。
  • 役員報酬を低く設定し、賞与で収入を補う方法がある。

社会保険料の軽減

役員報酬を低めに設定し、賞与で収入を補う方法だと、社会保険料の負担を軽減できるのが大きなメリットです。たとえば、月の役員報酬を10万円にして、年に一度賞与として1080万円を支給する場合、年間の社会保険料を大幅に削減することが可能です。

社会保険料の軽減

  • 役員賞与は社会保険料の上限が設定されており、負担が軽減される。
  • 例えば、役員報酬を月10万円にし、賞与で1080万円を支給する場合、社会保険料は大幅に削減される。

役員賞与のメリット・デメリット

役員賞与のメリットは、何といっても社会保険料の負担が軽くなることです。その結果、会社の資金繰りが楽になり、余裕を持った経営ができます。しかし一方で、賞与を受け取ることで所得が増え、場合によっては税金が増える可能性があるため、全体の所得バランスをしっかりと計画しておく必要があります。

役員賞与のメリット・デメリット

  • メリット: 社会保険料が少なく、資金繰りが楽になる。
  • デメリット: 税金が増える可能性があるため、全体の所得に注意が必要。

税金の影響

所得税は年間の所得に基づいて計算されます。同じ金額を受け取る場合でも、役員報酬と役員賞与では社会保険料の負担が異なり、その結果、所得税の額も変わってきます。

役員報酬の場合、社会保険料が高いため、その分控除額も大きくなります。一方、役員賞与の場合、社会保険料の負担が軽くなる分、控除額も少なくなるので結果的に所得が高くなるのです。

このように、賞与を受け取ることで一時的に税金が増えることがありますが、社会保険料の削減分を考慮すると、トータルで得になる場合が多いです。ですから、報酬と賞与の組み合わせをうまく活用することで、会社全体としての税負担を最適化することが可能です。

税金の影響

  • 所得税の計算: 所得税は年間の所得に基づいて計算される。役員報酬と役員賞与の合計が同じでも、社会保険料の差が影響する。
  • 社会保険料の控除:
    • 役員報酬の場合、社会保険料が高いため、控除額が大きくなる。
    • 役員賞与の場合、控除額が少なくなり、結果的に所得が高くなる。
  • トータルの税負担: 賞与を受け取ることで税金が増えるが、社会保険料の削減分を考慮すると、トータルで得になる場合が多い。

賞与支給のルール

賞与を支給するにはいくつかのルールがあります。

まず「事前確定届出給与」といって、賞与を支給するためには事業年度の開始から3ヶ月以内に役員の名前や支給日、支給額などを税務署に届け出る必要があります。この届け出内容に従って、支給日や金額を厳守する必要があり、たとえば1日でも支給日がずれたり、金額が異なったりすると、経費として認められなくなります。

また、所得税は12月31日で締められるため、賞与の支給タイミングはとても重要です。年をまたいで翌年の税金に影響を与えることもあるので、賞与を支給する際には計画的な支給が求められます。

賞与支給のルール

  • 事前確定届出給与: 賞与を支給するためには、事業年度開始から3ヶ月以内に届け出を行う必要がある。届け出には、役員名、支給日、支給額を明記する必要がある。
  • 支給日と金額の厳守: 届け出た内容に基づいて、支給日や金額を厳守しなければならない。1日でもずれたり、金額が異なると経費として認められない。
  • 所得税と住民税の締め日: 所得税は12月31日で締められるため、賞与の支給タイミングが重要。賞与が翌年に影響を与える場合があるため、計画的な支給が求められる。

資金繰りの工夫

役員報酬や賞与の設定次第で、資金繰りを工夫することもできます。たとえば、役員報酬を低く設定して生活費が不足した場合、会社から前借りをすることが可能です。その後、賞与を支給した際に前借り分を相殺することで、決算書に悪影響を与えないようにすることもできます。

また、賞与の支給タイミングを工夫することで、資金繰りの調整を行うことも可能です。たとえば、決算直前に賞与を支給すれば、その分の税金負担を軽減することができます。さらに、ふるさと納税とも関連があります。所得によってふるさと納税の限度額が変わるため、賞与の支給時期を考慮することで、税金の負担を減らすことができるのです。

資金繰りの工夫

  • 前借りの活用: 役員報酬を低く設定し、生活費が不足する場合は会社から前借りすることが可能。賞与支給時に前借り分を相殺することで、決算書に影響を与えない。
  • 資金繰りの調整: 賞与の支給タイミングを工夫することで、資金繰りを改善できる。例えば、決算直前に賞与を支給することで、税金の負担を軽減する方法がある。
  • ふるさと納税との関連: 所得によってふるさと納税の限度額が変わるため、賞与の支給時期が影響する。所得が少ない年にふるさと納税を行うことで、税金の負担を軽減できる。

まとめ

役員報酬と役員賞与は、それぞれにメリットとデメリットがあるため、会社の状況や役員のライフプランに合わせて使い分けることが重要です。

役員報酬は安定した収入を確保できる一方、社会保険料の負担が重くなります。対して役員賞与は社会保険料の軽減につながり、資金繰りが楽になりますが、税金面での影響も考慮しなければなりません。報酬と賞与のバランスをうまく調整して、トータルの負担を最適化することが、会社と役員の双方にとって有利な選択となります。

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