【社長必見の節税術】役員賞与で社会保険料は激減する!その仕組みと、手取りを最大化する究極の報酬設計

確定申告をしないとどうなる?追徴課税や大きなデメリット 役員賞与・役員報酬

「役員報酬にかかる社会保険料が高すぎる…」
「会社の利益を自分にも還元したいけど、社会保険料の負担を考えると躊躇してしまう…」
「毎月の役員報酬と賞与の最適なバランスって、一体どうすればいいんだろう?」

会社経営において、役員報酬の設計は、法人税の節税以上に、会社と経営者個人の手元キャッシュに直接的なインパクトを与える極めて重要なテーマです。特に、報酬額のおおよそ30%(会社負担と個人負担の合計)にも上る社会保険料の負担は、多くの経営者にとって大きな悩みとなっています。

しかし、この社会保険料、実は役員への報酬の支払い方一つで、合法的に、かつ劇的に削減できる可能性があることをご存知でしょうか?

その鍵を握るのが「役員賞与(ボーナス)」の戦略的な活用です。

この記事では、なぜ毎月高額な役員報酬を受け取るよりも、報酬を低く抑えて賞与でまとめて受け取る方が社会保険料の削減に繋がるのか、その具体的な仕組みをシミュレーションで徹底解剖します。さらに、このスキームを実践する上で知っておくべき税務上の手続き、メリット・デメリット、そして「毎月の生活費が足りなくなる」といった現実的な問題を解決するための具体的な方法まで、分かりやすく解説していきます。

役員報酬と社会保険料の基本:なぜ高額報酬は負担が大きいのか?

まず、なぜ高額な役員報酬が大きな社会保険料負担に繋がるのか、その基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。

毎月の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、役員報酬の月額を基に決定される「標準報酬月額」という等級に当てはめて計算されます。この標準報酬月額が高ければ高いほど、当然ながら保険料も高くなります。
この社会保険料は、役員個人と会社がそれぞれ約15%ずつ、合計で報酬額の約30%を負担するという、非常に重いコスト構造になっています。

【シミュレーション比較】役員報酬 vs 役員賞与、手残りはどう変わる?

では、同じ年間報酬額を受け取る場合、「毎月均等に役員報酬で受け取る」パターンと、「毎月の報酬を低くし、差額を年に1回の役員賞与で受け取る」パターンとで、年間の社会保険料負担はどれくらい変わるのでしょうか。

【シミュレーション共通条件】

  • 年間の役員報酬総額:1,440万円
  • 法人形態:中小企業(4月1日~翌3月31日決算)
  • 役員の状況:40歳未満、扶養家族なし(簡略化のため)

【パターンA:毎月の役員報酬のみで受け取る場合】

  • 支給方法: 月額120万円 × 12ヶ月 = 1,440万円
  • 社会保険料(個人負担分):
    • 月額報酬120万円の場合、毎月の社会保険料負担は約12万8千円となります。
    • 年間の社会保険料合計:約12万8千円 × 12ヶ月 ≒ 154万4千円
  • 社会保険料(会社負担分): 個人負担とほぼ同額の約154万4千円

このパターンでは、個人と会社を合わせると、年間で約308万8千円もの社会保険料が発生します。


【パターンB:役員報酬+役員賞与で受け取る場合】

  • 支給方法:
    • 月額役員報酬:6万円 × 12ヶ月 = 年間72万円
    • 役員賞与:1,368万円(年に1回、決算月に支給)
  • 社会保険料(個人負担分):
    • (1) 月額報酬に対する社会保険料:
      • 月額報酬6万円の場合、標準報酬月額は最低等級近くになり、毎月の社会保険料負担は約1万1千円程度です。
      • 年間の社会保険料合計:約1万1千円 × 12ヶ月 ≒ 13万6千円
    • (2) 役員賞与に対する社会保険料:
      • 賞与にも社会保険料がかかりますが、ここが最重要ポイントです。賞与にかかる社会保険料には、1回あたりの計算基礎額に上限(アッパー)が設けられています。
        • 健康保険: 年度内の累計で573万円まで
        • 厚生年金: 1回あたり150万円まで
      • つまり、1,368万円の賞与が支給されても、社会保険料の計算基礎となるのは、健康保険で573万円、厚生年金で150万円が上限となるのです。
      • この上限額に基づいて計算される賞与の社会保険料(個人負担分)は、約46万6千円となります。
    • (1)+(2) 年間の社会保険料合計: 約13万6千円 + 約46万6千円 = 約60万2千円
  • 社会保険料(会社負担分): 個人負担とほぼ同額の約60万2千円

【衝撃の比較結果】

項目パターンA(報酬のみ)パターンB(報酬+賞与)削減額
社会保険料(個人負担)約154万4千円約60万2千円約94万2千円
社会保険料(会社負担)約154万4千円約60万2千円約94万2千円
社会保険料(個人+会社合計)約308万8千円約120万4千円年間約188万4千円のコスト削減!

このシミュレーションから、年間の受取総額は同じでも、支払い方を「毎月の報酬」から「賞与」にシフトするだけで、個人・会社合計で年間約188万円もの社会保険料を削減できるという驚くべき結果がわかります。これは、会社の利益を直接的に押し上げ、経営者個人の手取り額を増やす、極めて強力な財務戦略と言えるのです。

なぜ「賞与」だと社会保険料が安くなるのか?そのカラクリとは

この劇的な削減効果の秘密は、前述した「賞与に対する社会保険料の上限(アッパー)」にあります。

毎月の役員報酬には、社会保険料の計算上限(標準報酬月額の上限)はあるものの、非常に高い水準に設定されています。そのため、高額な報酬を受け取るほど、社会保険料もほぼ青天井で増えていきます。

しかし、賞与については、厚生年金の上限が1回あたり150万円と、比較的低い水準でキャップがかけられていることが最大のポイントです。このため、150万円を超える高額な賞与を支給した場合、その超過部分には厚生年金保険料が一切かからなくなるのです。

この仕組みを戦略的に利用し、社会保険料の算定基礎となる毎月の役員報酬を可能な限り低く設定し、大部分を年に1~3回の賞与としてまとめて支給することで、トータルの社会保険料負担を劇的に圧縮することが可能になるのです。

賞与活用のための絶対条件:「事前確定届出給与」の手続き

この役員賞与による社会保険料削減スキームを実践し、かつ、支払った賞与を会社の経費(損金)として税務上認めてもらうためには、「事前確定届出給与」という制度の利用が不可欠です。

事前確定届出給与の3つの厳格なルール

  1. 事前に決定: 「誰に」「いつ(支給日)」「いくら」支払うかを、株主総会などで具体的に決定します。
  2. 事前に届出: 決定内容を記載した届出書を、所定の期限内(原則として事業年度開始から4ヶ月以内等)に税務署に提出します。
  3. 届出通りに支給: 届け出た支給日に、届け出た金額を1円のズレもなく、1日の遅れもなく支給します。

この手続きを一つでも怠ったり、内容が異なったりした場合は、支払った賞与の全額が損金として認められなくなるため、細心の注意を払って行う必要があります。

デメリットと注意点:メリットだけではない!

非常に魅力的な役員賞与活用スキームですが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。

1. 将来の年金受給額への影響

厚生年金保険料の納付額が少なくなるということは、将来受け取れる老齢厚生年金の額も減少することを意味します。将来の年金を手厚くしたいと考える方にとっては、デメリットとなり得ます。
(ただし、削減できた社会保険料分を、iDeCoやNISAなどを活用して自身で資産運用した方が、結果的に将来の資産をより大きく増やせる可能性も高いと考えられます。)

2. 傷病手当金・出産手当金額への影響

病気やケガで長期間働けなくなった場合に受け取れる「傷病手当金」や、出産時に受け取れる「出産手当金」の額は、毎月の標準報酬月額に基づいて計算されます。そのため、毎月の役員報酬を低く設定すると、これらの手当金の受給額も少なくなります。

3. 役員退職金の算定への影響

役員退職金の適正額を算定する「功績倍率法」では、退職直前の月額報酬が計算の基礎となります。毎月の役員報酬を低く設定していると、税務上認められる退職金の額が低く評価される可能性があります。退職を数年後に控えている場合は、このスキームの採用は慎重に検討すべきです。
(対策として、退職の数年前から徐々に役員報酬を引き上げていくことも考えられますが、不自然な報酬の引き上げは税務調査で否認されるリスクもあるため、専門家との相談が不可欠です。

現実的な問題と、その解決策

課題:「毎月の生活費が足りない!」
毎月の役員報酬を6万円などに設定すると、「生活できない」という現実的な問題が生じます。

解決策:「役員貸付」の活用

  1. 会社からの前借り: 毎月の生活費の不足分を、会社から役員個人への「役員貸付金」として前借りします。
  2. 賞与支給時の精算: 年に1回の役員賞与が支給された際に、その賞与額と、それまでの役員貸失金の残高を相殺して精算します。

【最重要注意点】
この方法を用いる場合、必ず決算日までに役員貸付金を全額精算し、貸借対照表上の残高をゼロにすることが絶対条件です。決算書に役員貸付金が残っていると、「会社のお金を社長が私的に流用している」と見なされ、金融機関からの評価を著しく悪化させ、融資が受けられなくなるなど、致命的な事態を招きます。

役員賞与 vs 配当:どちらが有利か?

役員への利益還元方法として「配当」も選択肢にありますが、これは役員賞与と比較してどうでしょうか?
結論から言うと、会社と個人のトータルで考えた場合、ほとんどのケースで「役員賞与」の方が有利です。
なぜなら、配当は会社の経費(損金)にならないからです。配当は、法人税を支払った後の利益から支払われるため、法人税と個人の所得税が二重で課税されるのに近い形となり、資金効率が非常に悪くなります。
一方、役員賞与は、法人の損金となるため、法人税を軽減する効果があります。この差は非常に大きいと言えます。

まとめ:報酬設計は経営戦略。社会保険料の最適化で会社と個人の手残りを最大化しよう!

役員報酬の設計は、単なる給料決めではありません。会社のコスト構造、経営者の手取り収入、将来の資産形成、そして税務・社会保険戦略までを包括した、高度な経営判断です。

役員賞与を活用した社会保険料削減スキームの要点

  1. 基本戦略: 毎月の役員報酬を低く抑え、報酬の大部分を年に1~3回の役員賞与として支給する。
  2. 削減効果: 賞与にかかる社会保険料の上限制度を利用することで、年間で数百万円単位の社会保険料(個人・会社合計)を削減できる可能性がある。
  3. 必須手続き: 会社の経費(損金)として認めてもらうために、必ず「事前確定届出給与」の届出を期限内に行い、届出内容を厳守する。
  4. デメリットへの配慮: 将来の年金額や傷病手当金などへの影響を理解した上で、自己責任で判断する。
  5. 資金繰り対策: 毎月の生活費は「役員貸付」で賄い、賞与支給時に必ず精算し、決算書上の残高をゼロにする。

この方法は、知っているか知らないかで、手元に残るお金に絶大な差を生み出します。しかし、その運用には税務・社会保険に関する正確な知識と、計画的な資金管理が不可欠です。

「自社でもこのスキームを活用できるだろうか?」「具体的なシミュレーションをしてみたい」と感じた方は、自己判断で進めるのではなく、必ず顧問税理士や社会保険労務士といった専門家にご相談ください。専門家は、あなたの会社の状況や経営者のライフプランに合わせて、最適な報酬設計をサポートしてくれるはずです。

社会保険料という大きな固定費を賢くコントロールし、会社とあなた自身の手元により多くのキャッシュを残すことで、事業の成長を加速させ、より豊かな未来を築き上げていきましょう。この記事が、そのための強力な一手となることを願っています。