1人社長・小規模法人向け!福利厚生費と資産購入時の経費処理の基本

節税・経費

今回は1人社長や家族経営の小規模法人の方向けに、福利厚生費の経費計上ルールと資産を購入した際の経費処理のポイントを解説します。


福利厚生費は1人社長でも経費になる?

福利厚生費って何?

福利厚生費は会社が従業員のために支出する費用です。ですが、1人社長の会社では福利厚生費として経費にできるかどうかはルールがあります。

1人社長の場合は福利厚生費にできない?

結論として、1人社長だけの会社では福利厚生費を経費にできません。福利厚生費は「従業員のため」の費用なので、従業員がいない場合は認められないのです。

家族経営ならどうなる?

家族だけで経営している会社も同様に、親族だけの福利厚生費は経費として認められません。


それでもできる節税対策は?

  • 会社名義で健康診断を受ける
  • 業務関連の研修費を計上する

これらは1人社長でも経費計上が可能です。


福利厚生費として認められる条件

福利厚生費として認められるためには、以下の2つの条件が必要です。

  1. 対象者全員に概ね一律に提供されていること
  2. 通常の範囲内の飲食費であること

たとえば、部署ごとの忘年会などは福利厚生費にできる場合があります。


飲み会の費用はどの費用になる?

  • 役員と従業員数人だけの飲み会 → 社内交際費(交際費)
  • 役員だけの飲み会 → 給与(役員賞与)扱いで経費にできない

交際費は中小企業なら年間800万円までは全額損金算入可能なので、大きな問題にはなりにくいです。ただし給与扱いになると所得税の徴収が必要になるので注意しましょう。


社員旅行の経費計上ルール

社員旅行も福利厚生費として認められる場合がありますが、条件があります。

  • 旅行は4泊5日以内であること
  • 全従業員を対象にしていること(自由参加も可)

特定の人だけを対象にした豪華旅行は、給与扱いとなる可能性が高いので注意が必要です。


資産購入時の経費処理はどうする?

車や建物などの資産を購入した場合、購入年度に一括で経費にできません。減価償却を使って毎年少しずつ経費化します。

小額資産はどうなる?

  • 10万円未満の備品(椅子や机など) → 消耗品費として一括経費化可能
  • 10万円以上の備品 → 資産として扱い、減価償却が必要

小規模企業向けの特例もある

青色申告の中小企業は、30万円未満の資産を一括で経費計上できる特例もあります。


仕事で使う車の経費処理は?

  • 車の購入代金は減価償却費として経費化可能
  • ガソリン代、洗車代、車検費用などの維持費も経費に含まれる
  • プライベートで使う場合は経費にできない

高級車は経費になる?

仕事で使っている証拠(走行距離など)があれば、高級車でも経費に認められることがあります。ただし、税務署は厳しくチェックするため注意が必要です。


事業に必要な英会話教室の費用は経費になる?

業務に関連があれば英会話教室の費用も経費にできます。

  • 外国人顧客が多い業務 → 経費計上可能
  • 将来的に英語を使う予定がある場合 → 税務署の理解を得やすい

趣味の英語学習は経費にできません。


その他の経費にできる例

  • 簿記検定など業務関連資格の取得費用
  • 飲食店経営なら調理師免許取得費用
  • 会社ホームページ制作費 → 通常は広告宣伝費で経費計上可能(1年以上使用するシステムなどは資産扱いになる場合あり)

まとめ

  • 1人社長の会社では福利厚生費は経費にできない
  • 社員旅行や飲み会の経費計上は対象者や内容によってルールがある
  • 資産購入は減価償却で経費化が基本
  • 仕事に関係する英会話や資格取得は経費になる可能性が高い

経費計上はルールを守って適切に処理することが重要です。わからない場合は専門家に相談しましょう。