【銀行融資の裏側】融資を断られる社長、喜んで貸したい社長。その決定的な10の違いとは?

法人設立

「なぜ、あの会社は、いつもスムーズに銀行から融資を受けられるのだろう?」
「うちは、決算書の内容も悪くないはずなのに、なぜか銀行の反応が鈍い…」
「銀行員は、一体、経営者のどこを見て、融資の可否を判断しているのだろうか?」

会社の経営者にとって、銀行からの「融資」は、事業を存続させ、成長させるための、まさに生命線です。しかし、その生命線を、いつでも、必要な時に、スムーズに確保できている経営者は、決して多くありません。

融資の可否は、決算書の数字だけで決まるわけではありません。銀行員は、数字の裏側にある、 経営者自身の「姿勢」や「能力」を、鋭い視点で見抜こうとしています。彼らは、「この経営者になら、安心して大切なお金を託せる」 と心から思える相手を探しているのです。

この記事では、

  • 銀行が「この社長になら、喜んでお金を貸したい!」と思う、10の共通点
  • 逆に、銀行員が「この社長には、絶対に貸したくない…」と感じる、危険な兆候
  • そして、あなたが銀行から「選ばれる経営者」になるための、具体的なアクションプラン

について、徹底的に、そして分かりやすく解説します。

この記事は、単なる銀行対策のテクニック集ではありません。それは、あなたの経営者としての「あり方」そのものを見つめ直し、金融機関という 最強のビジネスパートナーとの、強固な信頼関係を築き上げるための「教科書」 です。

この記事を最後までお読みいただき、あなたの会社の「銀行からの評価」を劇的に向上させ、事業の未来を盤石なものにしていきましょう。

銀行が「喜んでお金を貸したい」社長の10の共通点

それでは、銀行員が思わず「この社長を応援したい!」と感じてしまう、10の共通点を見ていきましょう。

1. とにかく「キャッシュ」を多く持っている

銀行が、融資審査において、決算書の利益以上に重視するもの。それが、貸借対照表(BS)に記載されている「現金及び預金」の残高です。

なぜなら、銀行にとって最大の関心事は、 「貸したお金が、きちんと返ってくるか」 という一点に尽きるからです。

  • たとえ赤字でも、キャッシュが潤沢な会社
    → 銀行の評価:「今は苦しい時期かもしれないが、これだけの現金があれば、当面の返済は問題ない。事業を立て直す体力がある」と判断し、支援のための追加融資を検討してくれる可能性があります。
  • 黒字でも、キャッシュが乏しい会社
    → 銀行の評価:「利益は出ているように見えるが、資金繰りは火の車だ。少しでも売掛金の回収が遅れれば、すぐに資金ショートする危険性がある。融資はできない」と判断します。

会社の血液である「キャッシュ」を、どれだけ潤沢に保有しているか。これが、銀行からの信頼を勝ち取るための、最も基本的で、最も重要な土台となります。また、会社だけでなく、経営者個人や、その親族がどれだけの資産を持っているかも、いざという時の返済能力として、評価の対象となることがあります。

2. 無駄遣いをせず、お金の使い方が「堅実」である

銀行は、融資したお金が、会社の「事業の発展」のために、有効活用されることを期待しています。

決算書やその内訳書をチェックした際に、

  • 事業規模に見合わない、過度に高額な役員報酬
  • 実態の伴わない、親族への給与支払い
  • 事業との関連性が疑わしい、高額な交際費や福利厚生費
  • 本業とは関係のない、仮想通貨やFX、株式投資といった、ハイリスクな金融資産への投資

といった 「無駄遣い」「公私混同」 の形跡が見られると、銀行員の心証は著しく悪化します。

「この社長は、会社のお金を、自分の私利私欲のために使ってしまうのではないか?」
「経営に対する真剣さが足りないのではないか?」

そう疑われた瞬間に、信頼関係は崩れ去ります。堅実で、透明性の高いお金の使い方をすることが、銀行から「信頼に値する経営者」と見なされるための、絶対条件です。

3. 経営管理ができており、「数字」に強い

銀行員との面談で、経営者としての「格」が最も試されるのが、自社の決算書の数字について、自信を持って語れるかどうかです。

  • 「今期の粗利益率が、前期より2ポイント改善したのは、〇〇という原価低減の努力が実を結んだからです」
  • 「来期は、人件費という固定費が〇〇円増加する見込みですが、それは新規事業のための人材投資であり、売上増で十分にカバーできる計画です」

このように、粗利益率、固定費、損益分岐点といった、基本的な財務指標を理解し、自社の経営状況を、自分の言葉で、数字に基づいて説明できる経営者は、銀行から絶大な信頼を得ます。

逆に、「数字のことは、税理士に任せきりで…」という態度は、「自分の会社の健康状態を把握していない、無責任な経営者だ」という烙印を押されることと同義です。

4. 「毎月の試算表」を作成し、定期的に報告してくれる

融資を申し込む時だけ、綺麗な決算書を持ってくる経営者と、たとえ業績が悪くても、毎月、あるいは四半期に一度、自ら「試算表(月次決算書)」を持参し、正直に業績を報告してくれる経営者。

銀行が、長期的なパートナーとして付き合いたいと思うのは、間違いなく後者です。

良い時も、悪い時も、包み隠さず情報を共有してくれる、その 「誠実さ」と「透明性」 こそが、銀行との信頼関係の礎となります。

赤字であっても、「今月は、このような理由で赤字でしたが、来月には、このような対策を打って、黒字化を目指します」と、前向きな姿勢で報告することで、銀行は、あなたの経営者としての管理能力と責任感を高く評価し、いざという時に、親身になって支援してくれるようになるのです。

5. 銀行が勧める「節税商品」を、安易に購入しない

銀行や信用金庫の担当者は、融資の取引と合わせて、 手数料の高い「投資信託」や「保険商品」 を、熱心に勧めてくることがあります。彼らにとっても、手数料収入は重要な営業目標だからです。

ここで、「融資をしてもらっている義理があるから…」と、言われるがままにこれらの商品を購入してしまう経営者がいます。

しかし、銀行が本当に評価するのは、「付き合い」で不要な商品を買ってくれる、お人好しの経営者ではありません。

「ご提案ありがとうございます。しかし、弊社の現在の資金状況と投資方針を鑑みると、この商品は必要ないと判断しました」

と、会社の財務状況を第一に考え、冷静かつ毅然と断ることができる経営者です。

自分の会社のことを真剣に考えている、ブレない姿勢を示すことが、かえって銀行からの信頼を高めることに繋がるのです。

6. ビジネスに対する、揺るぎない「情熱」と「ビジョン」がある

銀行員も、人間です。最終的には、 「この社長の夢を、応援したい」 と思えるかどうか、という感情的な要素も、融資判断に影響を与えます。

単に「儲けたい」というだけでなく、

  • 「この事業を通じて、社会のこんな課題を解決したい」
  • 「お客様に、こんな新しい価値を提供したい」
  • 「10年後、会社をこんな姿にしたい」

といった、 ビジネスに対する熱い「情熱」と、明確な「ビジョン」 を、自分の言葉で生き生きと語れる経営者は、非常に魅力的です。

そのビジョンに共感し、実現の可能性を感じた時、銀行員は、単なる担当者という立場を超えて、あなたの事業を成功へと導く、強力な「ファン」であり「パートナー」となってくれるでしょう。

7. 「定期預金」を、戦略的に活用している

これは、少し高度なテクニックですが、銀行との関係構築において、非常に有効な場合があります。

銀行は、融資を行う際に、その見返りとして 「定期預金」の作成を求めてくることがあります。これは、銀行にとって、万が一の際の「実質的な担保」 となるためです。

もちろん、資金繰りを圧迫するような過度な要求に応じる必要はありません。しかし、会社の余剰資金の一部を、融資を受けている銀行の定期預金として預け入れることは、「私たちは、御行との関係を重視しています」という、明確なメッセージとなり、銀行からの評価を高める効果があります。

ただし、定期預金は、一度預けると、簡単には解約できないケースもあるため、その必要性とタイミングについては、慎重な判断が必要です。

8. 銀行員を「人」として、尊重し、接待する

これも、昔ながらの慣習ではありますが、今なお有効なコミュニケーション手段の一つです。
もちろん、過度な接待や、倫理的に問題のある行為は論外です。

しかし、時には、ゴルフや食事の席で、ビジネスの鎧を脱ぎ、一人の人間として、担当者と信頼関係を築くことも、円滑な関係構築に繋がることがあります。

重要なのは、接待を「お願い」の場にするのではなく、日頃の感謝を伝え、相手の個人的な話にも耳を傾ける、純粋なコミュニケーションの場とすることです。

9. 融資の「使い道」を、明確に説明できる

銀行が、融資の際に最も気にするのが、 「貸したお金が、何に使われるのか」 です。

「運転資金が、なんとなく足りないので、貸してください」
これでは、融資を受けられるはずがありません。

「新規事業として、〇〇という新製品を開発するために、この機械を導入する必要があります。その設備資金として、見積書に基づき、1,000万円の融資をお願いします。これにより、売上は年間〇〇円増加する見込みです」

このように、融資の必要性、具体的な使い道、そして、それによって会社がどう成長するのか、というストーリーを、具体的な計画と数字で、明確に説明できる経営者を、銀行は求めています。

10. 他の銀行から「プロパー融資」を受けている

最後に、これが、銀行からの信用力を示す、最も強力な「お墨付き」となります。
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けずに、銀行が100%自らのリスクで実行する融資のことです。

これを受けられるのは、銀行から「この会社なら、絶対に大丈夫だ」と、最大限の信用を得ている優良企業だけです。

もし、あなたが他の銀行からプロパー融-資を受けている実績があれば、それは、新たな銀行にとっても、 「あの審査の厳しい銀行が認めた会社なのだから、信用できる」 という、絶大な信頼の証となります。

初めての融資で、いきなりプロパー融資を勝ち取るのは難しいかもしれません。しかし、常に「プロパー融資を目指す」という高い目標を持ち、銀行にその意思を伝え続けることが重要です。たとえ最初は断られたとしても、その理由を真摯に受け止め、経営を改善し、再挑戦する。その姿勢こそが、あなたの会社を、真の優良企業へと成長させてくれるのです。

まとめ:銀行との信頼関係こそが、会社の最大の資産である

今回は、銀行が「この社長になら、喜んでお金を貸したい!」と思う、10の共通点について、詳しく解説しました。

これら10の項目に共通しているのは、 「経営者としての誠実さ、責任感、そして未来へのビジョン」 です。

銀行は、単なる「金の貸し手」ではありません。彼らは、あなたの会社の未来を共に創る、最も重要なビジネスパートナーの一人です。

そのパートナーから、絶対的な信頼を勝ち得ること。それこそが、どんな決算書の数字よりも、どんな事業計画書よりも、あなたの会社を未来永劫支え続ける、 最大の「無形の資産」 となるのです。

ぜひ、この記事を参考に、自らの経営姿勢を改めて見つめ直し、銀行から「心から応援したい」と思われる、真の経営者を目指してください。

最後までお読みいただくありがとうございました。この記事があなたの経営の一助になれば幸いです。