赤字でも支払わなければならない税金について

節税・経費

通常、会社の利益にかかる税金として思い浮かべるのは法人税ですが、実は赤字でも支払わなければならない税金がいくつか存在します。

具体的には、「固定資産税」「自動車税」「法人住民税の均等割」「消費税」があげられます。

固定資産税/自動車税

赤字でも支払わなければならない税金についての代表的なものが「固定資産税」と「自動車税」です。

固定資産税は、会社が所有している土地や建物にかかる税金です。事業が赤字であっても、会社がこれらの資産を持っている限り、毎年この税金を払う必要があります。

同様に、自動車税も会社で車を所有している場合にかかる税金で、利益が出ていない場合でも免除されません。つまり、赤字であっても、これらの資産に関する税金は必ず発生するので、資金繰りの中で計画しておく必要があります。

  • 固定資産税
  • 自動車税

法人住民税の均等割

また、法人税についても、利益が出ていないときには発生しない部分もありますが、赤字でも必ず支払わなければならない「法人住民税の均等割」というものがあります。

これは、会社の利益に関係なく一定額を納める税金で、最低でも年間で約7万円が必要です。均等割は、法人の規模に応じて金額が変わることがありますが、赤字でも支払いが求められます。個人事業主の場合にはこの均等割がないため、法人化するとこの支払いが新たに発生するというデメリットもあります。

法人住民税の均等割とは?
法人住民税の均等割は、法人の利益に関係なく一定額が課される税金で、会社の規模や事業所の所在地によって金額が異なります。たとえば、資本金1,000万円以下で従業員数50人以下の法人の場合、年間でおおよそ7万円ほどが最低支払額です。会社の規模が大きくなると、均等割の負担も大きくなります。

赤字でも発生する「消費税」

さらに、赤字でも支払わなければならない税金として忘れてはいけないのが「消費税」です。

消費税は、売上と仕入れに基づいて計算される税金です。例えば、売上が3300万円で仕入れが1100万円の場合、消費税の納付額は売上から仕入れの分を差し引いて計算されます。

ここで大事なのは、たとえ会社全体が赤字であっても、売上が発生している限り消費税の納付義務が生じるという点です。

特に、人件費など消費税がかからない経費が多い場合は、経費の額にかかわらず消費税の納付が必要になります。つまり、会社の収支が赤字でも、売上があることで消費税の支払いが発生し、これが資金繰りに負担をかけることがあります。

  • 消費税
    売上が発生している限り消費税の納付義務が生じる

赤字でも発生する税金をどう計画に組み込むか

赤字でも支払わなければならない税金を考慮した資金計画を立てることは、会社の安定した経営に欠かせません。

定期的な資金シミュレーション

まずは、固定資産税、自動車税、均等割、消費税などの負担額を毎年シミュレーションし、納税資金をあらかじめ確保しておくことが大切です。シミュレーションを行うことで、納税月に急な支出が発生することを防ぎ、計画的に資金を確保できるようになります。

税理士との連携

税理士と定期的に相談し、会社の利益や負債状況を把握しながら適切な納税額を予測することも、赤字の年においても重要です。税理士に相談することで、赤字でも支払う必要がある税金を含めた資金計画を立てやすくなります。

税金知識の重要性

こうした税金の支払いについての知識を持つことは、会社経営において非常に重要です。特に、赤字でも発生する税金があるという事実を理解しておかなければ、資金繰りに大きな影響を与えてしまいます。

たとえば、思いもよらないタイミングで消費税の納付が発生してしまうと、手元の資金が足りずに経営が厳しくなることもあります。そのため、定期的に税理士と相談して、適切な資金計画を立てておくことが大切です。

まとめ:赤字でも支払う税金に備えて計画的な資金管理を

赤字であっても必ず支払わなければならない税金には、「固定資産税」「自動車税」「法人住民税の均等割」「消費税」があります。

これらは会社の利益に関係なく発生するため、経営者は事前に税金の発生額をシミュレーションし、資金繰りに組み込んでおくことが求められます。

赤字の年であっても資金不足に陥らないよう、税理士と連携して、納税資金の計画を練り、資金を準備しておくことが大切です。予期しない税負担が会社の財務状況を悪化させないために、日ごろから経営者として正しい税知識を持ち、適切な対策を行うことが安定経営につながります。