決算直前の節税手法とその落とし穴

節税・経費

1. 節税の誤解

節税を目的に高額な支出をしても、必ずしも経費として落とせるわけではないことに注意が必要です。誤った情報をもとに節税対策を行うと、結果的に資金繰りが悪化することも多いです。

支出が本当に節税につながるかをしっかり確認することが大切です。

  • 節税目的で高額な支出を行っても、経費で落ちない場合もある
  • 誤った情報で行動すると資金繰りが悪化する事が多い

2. 車の購入と減価償却

たとえば、車の購入について考えてみましょう。

高級車を買えば一気に経費にできると思うかもしれませんが、実際には「減価償却」によって数年間にわたって少しずつ経費にしていく形になります。

新車の場合、6年間で減価償却されるため、初年度に落とせる金額は100万円程度です。特に、決算直前に購入した場合は、初年度に計上できる金額が少なくなるので、購入のタイミングが重要です。

車購入の影響

  • 新車の場合、6年間で減価償却され、初年度に落とせる金額は約100万円程度です。
  • 決算直前に購入した場合、実際に落とせる金額が大幅に減少する

個人事業主であれば1月、法人であれば事業年度の初めに購入するのが理想的です。決算直前に購入すると、想定した節税効果が得られないことがあるので注意しましょう。

購入タイミングの重要性

  • 個人事業主の場合、1月に車を購入するのが理想的。
  • 法人の場合は事業年度の初めに購入するのが望ましい。

    3. 賃貸契約の年払い

    次に、賃貸契約の年払いについてです。家賃を年払いにするとその金額を全額経費として計上できます。

    例えば、年間360万円の家賃を年払いにすれば、法人税で120万円の節税ができるといったメリットがあります。しかし、実際には一度に360万円を支払うことになるので、手元の資金が大きく減り、資金繰りが悪化するリスクもあります。

    また、年払いを始めると最低でも3年間は続ける必要があるため、翌年以降も同じ支出をすることを考えて計画的に決める必要があります。

    節税目的だけで年払いにしてしまうと、逆に経営を圧迫してしまうことがあるので注意が必要です。

    年払いのメリットとデメリット

    • 年払いで家賃を支払うと、資金繰りが悪化する可能性がある
    • 一度年払いを始めると、最低3年間は続ける必要がある。

    4. 広告費の計上

    広告費についても注意点があります。広告費は支払っただけで経費になるのではなく、その広告が実施された月に経費として計上されます。

    たとえば、12月に広告費を支払っても、その広告が1月に掲載されるのであれば、1月に経費として計上することになります。

    • 広告費は実施された月に経費として計上される

    物品の購入タイミング

    物品の購入についても同じで、納品日や使用開始日が基準となります。

    支払った日ではなく、実際に使い始めた日が経費計上のタイミングになるということを覚えておきましょう。

    特に高額な機器や車両の場合、税務署のチェックが厳しくなるので、慎重に対応することが必要です。

    • 物品購入は納品日や使用開始日が重要になる
    • 支払った日ではなく、実際に使用した日が経費計上の基準となる
    • 高額な機器や車両の場合、税務署のチェックが厳しい

      5. 不動産購入の落とし穴

      また、不動産の購入についても落とし穴があります。土地は減価償却の対象外で、購入費用を経費として計上することはできません。

      建物や車両は減価償却が可能ですが、価値が減少しないもの、例えば高級車や限定モデルのように価値が上がる可能性のあるものについては、経費として認められないこともあります。

      土地と建物の経費計上

      • 土地は減価償却の対象外であり、購入費用を経費にならない
      • 建物や車両は減価償却が可能
      • 建物や車両は価値が減少しないものは経費として認められない場合がある
      • 高級車や限定モデルなど、価値が上がる可能性のあるものは注意が必要。

      土地と建物を同時に購入する場合、特に土地部分は経費にできないため、購入時には慎重に資産としての価値を考慮することが重要です。

      購入時の注意

      • 土地と建物を同時に購入することは避けること
      • 土地は経費にできない

        6. 修繕費とその判断基準

        修繕費も一見すると経費にしやすいように見えますが、内容によっては減価償却の対象となる場合があります。

        例えば、壊れたドアを交換するときに機能が向上するような場合、それは修繕費ではなく固定資産として扱われ、減価償却の対象になります。

        修繕費の経費計上

        • 修繕費は一括で経費計上できるが、機能がアップグレードされる場合は減価償却の対象外

        基本的には60万円以内の修繕費であれば一括で経費計上が可能ですが、機能向上がある場合は慎重に判断しなければなりません。

        判断基準

        • 60万円以内の修繕は一括で計上可能ですが、機能向上がある場合は減価償却が必要。
        • 修繕の内容によって経費計上の方法が異なるため、しっかりと判断することが重要。

        7. 消費税の節税誤解

        最後に、消費税の節税についての誤解にも注意が必要です。

        消費税は、売上の消費税から経費の消費税を差し引いて納税します。そのため、経費の消費税を増やせば節税になると考えてしまいがちですが、無駄な支出をして経費の消費税を増やす行為は、実際には節税にならないことが多いです。

        消費税の支払いタイミングや資金繰りをよく考慮し、無駄な出費を避けることが大切です。

        消費税の仕組み

        • 経費の消費税を増やそうとする行動が、実際には節税につながらないことも多い

        まとめ

        こうしたさまざまな節税手法には落とし穴があり、何でもかんでも支出すれば節税になるわけではありません。

        節税のための支出が本当に効果的かどうか、資金繰りへの影響を考慮して、計画的に行動することが重要です。

        「節税対策をもっと知りたい」「確定申告が不安」「法人税について詳しく知りたい」など、税金に関する問題は経営者にとって避けられない課題です。
        そんな時こそ、税理士に相談することで最適なアドバイスを受け、節税対策や資金繰りをスムーズに進めることができます。

        ですが、税理士にも様々なレベルがあり、選び方を間違えると後悔することがあります。
        経験豊富で信頼できる税理士は、節税対策や財務戦略に詳しく、経営に大きなメリットをもたらします。
        一方で、知識が浅い、または事務的な対応に終始する税理士も存在します。
        適切な税理士を選ぶためには、実績や対応力、信頼性をしっかりと見極めることが重要です。

        税理士紹介サービスの中には初回相談が無料のところや、紹介料が無料のところもあります。
        登録するだけでしたら費用はかからないのでものが大半ですので、色々なサービスを利用して最適な税理士を見つけてください。