役員報酬を決める際に、社会保険料の負担がどれだけかかるかを正しく理解することが大切です。本資料では、給与と社会保険料の関係、そして社会保険料を抑えるためのポイントをわかりやすく解説しています。
社会保険料の負担と給与の関係
まず、「給与が上がるほど社会保険料の負担も比例して増える」という誤解がよくあります。しかし、実際には社会保険料の負担率は、収入が一定額を超えると減少します。社会保険料の計算では、月給66万円までは増え続けますが、それを超える部分は厚生年金の上限に達するため、それ以上の負担率は下がります。つまり、高収入の人は給与が増えても社会保険料の増加幅が小さくなり、一定のメリットを享受できるのです。
一般的な誤解:
「給与が上がると社会保険料の負担も比例して増える」という誤解があるが、これは正しくない。
→ 実際:給与が増えるほど負担率は減少する。
社会保険料の計算方法:
- 社会保険料は給与の約15%。
- 月給66万円までは負担額が増加するが、それを超えると厚生年金の上限に達し、負担率が下がる。
役員報酬と商用の最適化
役員報酬を最適化するためのポイントとして、「給与」と「商用」(報奨金や賞与)のバランス調整が重要になります。たとえば、給与を低めに抑え、残りを商用で支払うことで、社会保険料の負担を大幅に削減できます。商用には優遇制度があり、年収が573万円を超える部分には健康保険が適用されず、1回あたり150万円以上の部分には厚生年金がかかりません。このような仕組みを活用することで、高額報酬者の社会保険料負担を効果的に抑えられます。
給与と商用のバランス調整
- 給与を低く設定し、残りを商用として支給することで社会保険料を削減可能。
商用の優遇制度
- 健康保険は年収573万円を超える部分に適用されない。
- 厚生年金は1回あたり150万円を超える部分には適用されない。
効果
- これらの上限により、高額報酬者の社会保険料負担率が低下する。
税金と手取りの関係
社会保険料が減少するとその分税金が増えるため、保険料と税金のバランスを考える必要もあります。具体的には、社会保険料を減らしても、減らした分に対して税金がかかるため、手取り額が思ったほど増えないケースがあります。このため、保険料だけでなく、全体の税負担を見越して計画することが重要です。
社会保険料と税金のトレードオフ:
- 社会保険料を削減しても、その分税金が増加する。
手取り額の変化:
- 社会保険料が減る分だけ手取りが増加するとは限らない。税負担の影響で純増加額は予想より少なくなる。
高所得者の社会保険料負担
高額所得者の場合、社会保険料の負担はかなり抑えられる仕組みがあります。たとえば、月額200万円の報酬をもらっているケースでは、健康保険や厚生年金の上限に達しているため、社会保険料の負担率は約4.43%に抑えられます。こうした人ほど、給与を商用として支払うことのメリットが大きく、社会保険料の削減効果も高まります。
月額200万円の例:
- 健康保険と厚生年金の上限により、社会保険料の負担率は**4.43%**に抑えられる。
商用の活用:
- 高所得者は商用を活用することで、社会保険料負担をさらに軽減できる。
確定拠出年金(企業型)の活用
確定拠出年金(企業型)の活用も有効な手段の一つです。確定拠出年金は、給与の20%(最大40万円/月)まで積み立てることができ、その積立額は課税対象外になります。これにより、税負担を減らしながら将来のために資産を蓄えることが可能です。ただし、年金の積立が有利になるかどうかは、退職までの期間によって変わります。退職まで10年以内であれば、確定拠出年金を活用した方が得策です。一方、10年以上の時間がある場合は、今の手取りを増やして資産運用を行う選択肢も考慮する価値があります。
確定拠出年金の仕組み:
- 給与の**20%(最大40万円/月)**まで積立可能。
- 積立額は課税対象外となり、税金面でのメリットがある。
長期的視点での検討:
- 退職までの期間が10年以内の場合、確定拠出年金の活用が有利。
- 10年以上ある場合は、手取りを増やして資産運用する選択肢も考慮に入れるべき。
このように、役員報酬の設定には多くの工夫が必要ですが、給与と商用のバランスを上手に取ることや、税金と社会保険料の関係を理解することで、負担を最小限に抑えつつ、手取りを最大化することが可能です。
また、確定拠出年金などの制度を活用することで、将来の資産形成をサポートすることもできます。高所得者ほど、こうした報酬設計の工夫を取り入れることで、大きなメリットを享受できるでしょう。
まとめ
役員報酬の設定では、給与と商用のバランスを調整し、社会保険料と税金の最適な組み合わせを見つけることが重要です。高所得者ほど報酬体系を工夫することで、社会保険料の負担を抑え、手取りを増やすメリットを享受できます。
また、確定拠出年金の活用や資産運用を視野に入れることで、将来の資産形成にも効果的な準備が可能です。ただし、これらの調整には複雑な計算と専門的な知識が必要です。報酬設計を成功させるためには、税金や社会保険制度に精通した税理士のアドバイスを受けることが有効です。
ですが、税理士にも様々なレベルがあり、選び方を間違えると後悔することがあります。
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一方で、知識が浅い、または事務的な対応に終始する税理士も存在します。
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