【銀行融資の罠】信用保証協会付き融資は使うな!会社の信用力を上げる「プロパー融資」獲得戦略

節税・経費

「銀行から融資を提案されたけど、『保証協会付き』じゃないとダメだと言われた…」
「信用保証協会って、そもそも何?保証人がついてくれるなら、お得なんじゃないの?」
「どうすれば、保証協会に頼らない『プロパー融資』を受けられるようになるんだろう?」

会社の経営者であれば、事業の成長や資金繰りの安定のために、銀行からの融資は欠かせない選択肢です。しかし、融資の相談をすると、特に中小企業の場合、必ずと言っていいほど登場するのが 「信用保証協会」 という存在です。

銀行の担当者から「保証協会の保証を付ければ、融資が通りやすくなりますよ」と勧められ、言われるがままに「保証協会付き融資」を受けている経営者の方は、非常に多いのではないでしょうか。

しかし、もしあなたが、「保証人がついてくれるのだから、安心でお得だ」と考えているとしたら、それは大きな誤解です。

結論から言うと、信用保証協会付き融資は、あなたの会社にとって多くのデメリットをはらんでおり、できる限り利用は避けるべきです。真に目指すべきは、銀行が自らのリスクで直接融資を行う 「プロパー融資」 を勝ち取ることなのです。

この記事では、数多くの企業の資金調達を支援してきた専門家の視点から、なぜ信用保証協会付き融資を安易に利用すべきではないのか、その仕組みとデメリットを解き明かし、あなたの会社の真の信用力を高め、最強の資金調達手段である「プロパー融資」を獲得するための具体的な戦略を、徹底的に解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、あなたは以下の知識と具体的なアクションプランを手に入れることができます。

  • 「信用保証協会」が何であり、どのような仕組みで機能しているのかを正しく理解できます。
  • 保証協会付き融資がもたらす「保証料という無駄なコスト」と「保証枠の浪費」という2大デメリットを深く理解できます。
  • 銀行が保証協会付き融資を勧めてくる、その本当の理由(リスクヘッジ)がわかります。
  • 会社の信用力の証である「プロパー融資」の絶大なメリットと、それを獲得するための具体的な交渉術を学べます。
  • すでに保証協会付き融資ばかりになってしまっている会社が、プロパー融資へと切り替えていくための実践的なステップを知ることができます。

金融機関との付き合い方は、会社の未来を左右する重要な経営スキルです。この記事を通じて、あなたの会社の資金調達戦略を一段上のステージへと引き上げ、より強固な経営基盤を築いていきましょう。

そもそも「信用保証協会」とは何か?その仕組みと役割

まず、信用保証協会とはどのような組織なのか、その基本的な仕組みから理解しましょう。

信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、その 「公的な保証人」 となってくれる機関です。

あなたが銀行からお金を借りる際、万が一、あなたの会社が返済不能に陥ってしまった場合、銀行は貸したお金を回収できず、損失を被ってしまいます(貸し倒れリスク)。このリスクを恐れて、銀行は実績の少ない中小企業への融資に慎重になりがちです。

そこで、信用保証協会が間に入り、「もしこの会社が返せなくなったら、私たちが代わりに返済しますよ」と保証することで、銀行の貸し倒れリスクを軽減し、中小企業が融資を受けやすくする、というのが保証協会の役割です。

一見すると、保証人がついてくれるのだから、借りる側にとっても非常にありがたい制度に見えます。しかし、その裏には、見過ごすことのできないデメリットが潜んでいるのです。

なぜ「保証協会付き融資」を安易に利用すべきではないのか?

銀行から勧められるがままに保証協会付き融資を受けていると、知らず知らずのうちに、あなたの会社は2つの大きな不利益を被ることになります。

デメリット①:「信用保証料」という無駄なコストが発生する

保証人になってもらう以上、当然ながらタダではありません。あなたは、保証協会に対して 「信用保証料」 という手数料を支払わなければなりません。

この保証料は、借入額や期間、会社の信用度によって異なりますが、決して安い金額ではありません。銀行に支払う「利息」とは別に、この「保証料」という二重のコストが発生してしまうのです。

もし、保証協会に頼らずに銀行から直接お金を借りる「プロパー融-資」であれば、この保証料は一切かかりません。保証協会付き融資は、本来払う必要のないコストを負担させられている、ということをまず認識する必要があります。

デメリット②:いざという時の「保証枠」を浪費してしまう

これが、より深刻で、より戦略的に考えなければならないデメリットです。

信用保証協会が、一つの会社に対して保証できる金額には、上限が定められています。これを 「保証枠」 と呼び、無担保の場合で最大8,000万円とされていますが、実際には会社の規模(年商など)に応じて、個別に設定されています。

この「保証枠」は、あなたの会社にとって、 本当に経営が苦しくなり、他に誰もお金を貸してくれなくなった時のための、「最後の切り札」であり、「命綱」 です。

しかし、銀行は、自らのリスクがほとんどないため、会社の業績が良い時でも、安易にこの保証協会付き融資を勧めてきます。言われるがままに保証協会付き融資で借り入れを重ねてしまうと、この貴重な 「保証枠」を、平時に無駄遣いしてしまう ことになるのです。

そして、いざコロナ禍のような不測の事態が起こり、本当に資金が必要になった時に、「申し訳ありませんが、御社の保証協会の枠はもう使い切っているので、これ以上は融資できません」と、断られてしまう…。

こんな最悪の事態に陥らないためにも、保証協会の枠は、最後の最後まで温存しておくべきなのです。

補足:保証協会付き融資は「借金がチャラになる」制度ではない

ここで一つ、重要な注意点です。
保証協会は、あなたが返済不能になった際に、銀行に「肩代わり」して返済してくれますが、それであなたの会社の借金がなくなるわけではありません。

その後は、債権者が銀行から保証協会に変わり、あなたは保証協会に対して、借金の返済を続けていく義務を負います。単に、返済相手が変わるだけなのです。この点を誤解しないようにしましょう。

銀行はなぜ保証協会付きを勧める?プロパー融資を勝ち取るための交渉術

では、なぜ銀行はこれほどまでに保証協会付き融資を勧めてくるのでしょうか。答えはシンプルで、銀行にとってリスクがほとんどないからです。

保証協会付き融資であれば、貸し倒れリスクの大部分(8割~100%)を保証協会が負ってくれるため、銀行は安心して融資を実行し、利息収入を得ることができます。

逆に言えば、銀行があなたにプロパー融資を提案してこないのは、「あなたの会社のことを、まだ100%は信用していない」というサインでもあるのです。

真に目指すべきは、この状況を脱し、銀行から「この会社なら、保証なんてなくても大丈夫だ」と信頼され、プロパー融-資を勝ち取ることです。

プロパー融資の絶大なメリット

プロパー融資を獲得することには、保証料というコストが不要になる以上の、計り知れないメリットがあります。

それは、 「他の金融機関からの信用力が、劇的に向上する」 という点です。

考えてみてください。A銀行が、あなたの会社に1,000万円のプロパー融資を実行したとします。その事実を知ったB銀行やC銀行の担当者は、どう思うでしょうか。

「あの審査の厳しいA銀行が、保証もなしに1,000万円も直接融資するなんて、この会社はよほど財務内容が良くて、将来性があると評価されているに違いない」

このように、 一行からのプロパー融資の実績が、他の銀行に対する強力な「お墨付き」 となり、信用力の証明になるのです。

その結果、

  • 他の銀行からも「うちでも融資させてください」と、良い条件の提案が来やすくなる。
  • さらに多くの銀行からプロパー融資を引き出せるようになり、資金調達の選択肢が広がる。
  • 保証協会の枠を温存したまま、事業資金を確保できる。

という、資金調達における「好循環」が生まれるのです。だからこそ、たとえ最初は少額からでも、 「プロパー融資の実績を作る」 ことに、全力を尽くすべきなのです。

プロパー融資を勝ち取るための交渉術

銀行側から「プロパー融資でどうですか?」と提案してくることは、稀です。プロパー融資は、経営者自らが、能動的に交渉して勝ち取るものです。

  • 交渉の基本姿勢
    銀行から「保証協会付きでいかがですか?」と提案されたら、そこで「はい、お願いします」と即答してはいけません。
    「ありがとうございます。ただ、弊社の財務状況も改善してきておりますので、今回はぜひプロパー融資でご検討いただくことはできないでしょうか?」
    と、必ず一度は交渉のテーブルに着きましょう。
  • 最高の交渉タイミング
    プロパー融資を最も引き出しやすい絶好のチャンスがあります。それは、銀行側から「社長、そろそろ資金が必要ではないですか?融資をご利用になりませんか?」と、営業をかけてきた時です。
    これは、銀行があなたの会社を高く評価し、「ぜひとも貸したい」と思っている証拠です。このタイミングを逃さず、「借りてあげてもいいけど、もちろんプロパーですよね?」という、少し強気なスタンスで交渉に臨むことで、有利な条件を勝ち取れる可能性が飛躍的に高まります。

金利が多少高くても、プロパー融資を勝ち取る価値は十分にあります。目先の金利差よりも、「プロパー融資の実績」という、未来に繋がる無形の資産を手に入れることを優先しましょう。

すでに保証協会付き融資だらけ…どうすればいい?

「うちは、もうすでに保証協会付きの借入ばかりになってしまっている…」
そんな経営者の方も、諦める必要はありません。今からでも、プロパー融資中心の財務体質へと切り替えていくことは可能です。

ステップ①:複数の金融機関と取引する

まず、取引する金融機関を一行に絞らず、複数の銀行や信用金庫と付き合いを持つことが重要です。それぞれの金融機関で、金利や返済期間などの融資条件は異なります。

ステップ②:「借り換え」を交渉カードにする

複数の取引金融機関の中で、最も条件の悪い保証協会付き融資を見つけます。そして、他の金融機関に、

「現在、A銀行からこのような条件で保証協会付きの融資を受けているのですが、もし御行で、これをプロパー融資として借り換えていただけるのであれば、メインバンクを御行に移すことも検討します」

といった形で、 「借り換え」 を提案するのです。
金融機関にとっては、他行の融資残高を奪うことは大きな実績になります。この競争原理を利用して、既存の保証協会付き融資を、新たなプロパー融資へと切り替えていくのです。

ステップ③:完済して、保証協会との関係を清算する

借入金を完済すれば、当然、保証協会との保証契約も終了します。地道に返済を進め、一つずつ保証協会付きの借入をなくしていくことも、重要な戦略です。

ステップ④:常に「プロパーで」と言い続ける

そして、最も大切なのが、日頃からのコミュニケーションです。
融資の相談をするたびに、「まずはプロパーでお願いします」と言い続ける。ブログやSNSで、自社の財務方針として「プロパー融資を目指している」と発信し続ける。

こうした地道な活動を続けることで、金融機関の担当者の間でも「あの社長は、プロパー融資に強いこだわりを持っている」という認識が広まっていきます。そうすれば、向こうから提案してくる際の前提条件も、次第に変わってくるはずです。

まとめ:会社の信用力は、自らの手で築き上げるもの

今回は、多くの中小企業が利用している「信用保証協会付き融資」に潜むデメリットと、真に目指すべき「プロパー融資」を勝ち取るための戦略について解説しました。

  • 信用保証協会付き融資は、保証料というコストがかかり、いざという時の「保証枠」を浪費してしまうため、安易な利用は避けるべきです。
  • 真に目指すべきは、銀行が直接リスクを負う「プロパー融資」です。これは、あなたの会社の信用力を証明する、何よりの「お墨付き」となります。
  • プロパー融資の実績は、他の金融機関からの信用をも高め、資金調達における「好循環」を生み出します。
  • プロパー融資は、待っていても提案されません。銀行から営業があった時などを絶好のチャンスと捉え、経営者自らが能動的に交渉して勝ち取るものです。
  • すでに保証協会付き融資が多い場合でも、「借り換え」などの戦略を駆使して、少しずつプロパー融資へと切り替えていくことが可能です。

会社の信用力は、誰かが与えてくれるものではありません。日々の健全な経営努力と、金融機関との粘り強い交渉を通じて、経営者自らが築き上げていくものです。

ぜひ、この記事を参考に、自社の借入状況を改めて見直し、「保証協会頼み」の財務体質からの脱却を目指してください。その先には、より強固で、より自由な経営が待っているはずです。

最後までお読みいただくありがとうございました。この記事があなたの経営の一助になれば幸いです。