雑所得と事業所得の比較!確定申告はどっちでするのがお得?

確定申告・税務調査

確定申告が必要なことは理解できたものの、次に悩むのが「雑所得」で申告するべきか「事業所得」で申告するべきか、という疑問でしょう。

この2つの違いをしっかりと把握することで、どれだけ節税ができるかが変わってきます。しかし、内容をよく理解していないと、せっかく申告しても再提出を求められることがあるんです。

できれば効率よく、法律の範囲で節税ができる方法を選びたいですよね。

そこで今回は、「雑所得」と「事業所得」で申告するとどうなるのか、それぞれの違いを比較してみます。より効果的な節税方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。

雑所得とは?

雑所得とは、次のように定義されています。

雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。

引用元: 国税庁HP「雑所得について」

なお、他の9種類の所得とは下記になります。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得

会社員が副業をしてある程度の収益が出た場合、その収入は「雑所得」として確定申告が必要です。

基準となるのは「所得が20万円以上」で、これは副業収入から経費を引いた金額が20万円を超えた場合に申告を行う必要があるということです。

事業所得とは?

事業所得とは、次のように定義されています。

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。

引用元: 国税庁HP「事業所得について」

要は事業として収益がでた場合は事業所得になります。
事業所得についても、事業収入から必要経費を差し引いて事業所得を確定させて申告する必要があります。

「どちらでも別にいいのでは?」

と思ってしまうかもしれませんが、実は事業所得として確定申告をするほうが圧倒的にメリットを受けることができるんです。

事業所得と雑所得でどういう違いがあるのか?

事業所得として確定申告をする場合、雑申告として確定申告をするのと比較して3つのメリットを受けられます。

1.損益通算ができる

損益通算とは、事業ででた赤字を他の所得と赤字を相殺できる仕組みです。

例えば、お給料を400万円もらっている会社員がいたとして、副業のアフィリエイトで200万円稼いでいるとします。そして副業でかかる経費は500万円だったとします。

雑所得だと副業のアフィリエイト収入の200万円の収入を相殺するだけで、所得税は残りのお給料の400万円にかかってきます。
しかし事業所得の場合は、アフィリエイトの稼ぎと経費を相殺し、さらにマイナス分をお給料からも相殺できるんです。つまり所得税は100万円分にしかかかりません。

雑所得と事業所得の税金の違い

雑所得で申告した時の所得税のイメージ
(400万円(給与所得)+0円(雑所得))×10%(所得税率)=40万円
※雑所得は赤字計上できないので、どれだけマイナスになっても0円で計算されます。

事業所得で申告した時の所得税のイメージ
(400万円(給与所得)+200万円(事業所得)―500万円(必要経費))×5%(所得税率)=5万円

この損益通算できるか否かは、手取り額に大きく関わってくるので、ぜひ覚えておいてくださいね。

2.青色申告ができる

事業所得のメリットとして大きいのが青色申告の存在です。

青色申告は確定申告の方法の一つで事前に承認が必要だったり、提出する資料が複雑ではありますが、最大65万円の控除を得ることができます。

青色申告するだけで65万円所得を圧縮することができるので、ものすごい節税メリットを得ることができます。

3.赤字を繰り越せる

雑所得は赤字が出ても他の所得から相殺できないだけでなく、翌年に繰り越すことができません。

一方で、事業所得は赤字が出て、所得から相殺してもなお赤字が残っている場合、翌年の所得から差し引くことができます。

この3つのメリットが事業所得にはあります。ただし誰でも彼でも事業所得として申告できるわけではありません。

事業所得はメリットがある分制限がある

副業や小規模事業において、事業所得が雑所得として扱われるケースは増えています。特に、事業としての活動が一貫性や計画性を欠いていると判断されると、税務署が事業所得ではなく雑所得と見なすことがあります。

税務署は、事業としての証拠(例えば、事業計画書、取引記録、経費の明細など)が乏しい場合に、事業所得ではなく雑所得として扱うことがあります。このような場合、事業所得のメリット(例えば、赤字の損益通算)が適用されないことがあります。

とはいえ、税務署の方があなたの副業を全て完璧に理解しているわけではないので、突っ込まれたらきちんと説明できるだけの用意(理論武装)はしておくべきです。
もちろん、嘘で塗り固めるのではなく、あなたの副業の内容をさっきの基準にどうマッチしているのか?納得できる説明ができればいいんです。

  • きちんと儲かっている理由、儲からなかった理由を明確にする
  • どれぐらいの時間を費やしているのか業務日報をつける癖をつける
  • 事業の計画を他人に説明できるようにする
  • 事業に対してきちんと投資する
  • その事業がないとどれぐらい生活に負担があるのか説明する

このようなポイントをしっかりと抑えましょう。

どうやって事業所得として申告するの?

ずは「開業届」を提出する必要があります。

実は開業届を出していなくても、確定申告で事業所得として申告することができます。
この場合は「開業届の提出忘れ」として処理されますが、特に開業届を出さない理由もありませんので出してください。

事業所得の節税メリットを受けられる青色申告は開業届と青色申告承認申請書の提出が必須です。

この二つをきちんと出して確定申告を青色申告で行うのが、一番節税メリットを受けられる方法です。

ただし、青色申告にも制限や期限などがあったりします。場合によっては白色申告のほうがいいかも?と感じるときがあるかもしれません。

次の記事では青色申告と白色申告の違いを徹底的に解説しています。
どちらの方法で申告するのか迷っている方は、ぜひご覧ください。