税務調査について、最近の状況や法人と個人事業主の違い、注意すべきポイントについてお話しします。コロナ禍では税務調査の件数が少なかったのですが、2022年の夏ごろから急に増え始め、2023年もその勢いは続いています。法人・個人を問わず、税務調査のリスクが高まっているので、特に気をつけたいところです。
まず、調査の対象についてですが、法人の方が調査を受ける確率が高い傾向にあります。とはいえ、個人事業主も無関係ではありません。実際、所得税の申告件数が約347万件ある中で、税務調査が行われたのは7.4万件、確率にすると約2.1%、つまり50人に1人が調査を受けているということです。しかも、調査が入ると追徴税が発生するケースが多く、全体の82.4%にのぼっています。平均追徴税額は131万円と、個人事業主にとってはかなりの負担になることがあります。また、無申告者にも調査が入る可能性があるため、確実な申告を行うことが求められます。
一方、法人の場合の調査確率は約3.4%と、個人事業主よりもやや高くなっています。法人の申告件数は約292万件あり、そのうち調査が行われたのは10万件です。追徴税が発生するのは全体の74%で、平均追徴税額は262万円とかなりの高額です。ただし、この数字は平均値であり、実際にはもっと低いケースもあるかもしれません。特に、黒字申告の法人には調査が入りやすい傾向があるため、注意が必要です。
税務調査で気をつけなければならないのが「重加算税」です。重加算税が課税されると、その後も頻繁に調査が入る可能性が高まります。過去に税務調査を受けた法人の場合、およそ34年に一度の頻度で調査が入るとされています。個人事業主も同様に、重加算税が課されるとその後のリスクが高まるため、十分に注意しなければなりません。
また、個人事業主には特有のリスクがあります。事業だけでなく、個人の財務状況も調査対象となる可能性があるからです。たとえば、自宅の水道光熱費など個人の経費がしっかりと申告されているかも確認されることがあります。一方、法人の場合は会社の経費のみが対象となるため、個人事業主と比べると調査の範囲が少し限定されます。
税務調査を避けるためには、正確な申告が欠かせません。不正なことをせず、適切に申告を行うことで調査のリスクを減らせます。税務署との信頼関係を築くことが、長期的な安心につながります。確定申告の際も、還付申告や医療費控除など、正当な理由に基づいて行うことが重要です。また、税務署からの連絡があった場合には、迅速に対応するようにしましょう。適切な対応を心掛ければ、税務調査が入るリスクを大幅に減らすことができます。
それでは詳しく見ていきましょう。
1. 税務調査の増加傾向
- コロナ禍の影響
コロナ期間中は税務調査の件数が極端に少なかったものの、2022年夏から急増し始め、引き続き増加傾向にあります。
2. 調査対象の違い
- 法人と個人の違い
税務調査は法人の方が対象となる件数が多い傾向にありますが、個人事業主も注意が必要です。
3. 個人事業主の税務調査
- 調査件数と確率
所得税の申告件数は347万件に対し、実際に調査が行われたのは7.4万件です。確率にすると約2.1%、つまり50人に1人の割合で調査が入ります。また、追徴税が発生するケースが多く、注意が必要です。 - 追徴税の実態
調査が行われた7.4万件のうち、追徴税を伴う件数は82.4%にもなります。平均追徴税額は131万円であり、個人事業主にとっては大きな負担です。また、無申告者にも調査が入る可能性があるため、適切な申告が求められます。
4. 法人の税務調査
- 申告状況と調査確率
法人の申告件数は292万件で、そのうち調査が行われたのは約10万件です。調査の確率は約3.4%と、法人の方が個人事業主よりも調査が入りやすいです。追徴税を伴う件数は74%で、個人事業主に比べると少し低くなっています。 - 追徴税の平均額
法人の場合、平均追徴税額は262万円と高額です。ただし、これは平均値であり、中央値はもっと低い可能性があります。法人の調査は、特に黒字申告の会社に多く入る傾向があります。
5. 調査のリスクと注意点
- 重加算税の影響
重加算税が課税されると、以降の税務調査が頻繁に行われる可能性があります。過去に調査を受けた法人では、3~4年に一度の頻度で調査が入ると言われています。個人事業主も同様に、重加算税には注意が必要です。 - 個人事業主の特有のリスク
個人事業主は、事業だけでなく個人の財務状況も調査対象となる可能性があります。自宅の水道光熱費など、個人の経費が対象になることもあります。一方、法人の場合は会社の内容のみが調査対象となるため、リスクの内容が異なります。
6. 申告の重要性
- 正確な申告の必要性
税務調査を回避するためには、不正をせずに正確に申告することが大切です。適切な申告を行えば、調査の確率は低くなります。また、税務署との信頼関係を築くことが、長期的な安心につながります。 - 申告の際の注意事項
確定申告を行う際は、還付申告など正当な理由に基づいて行うことが重要です。また、税務署からの連絡には迅速に対応するよう心掛けましょう。
上記を踏まえ、税務調査は法人だけでなく個人事業主にも関わる重要な問題です。最近の増加傾向を踏まえ、調査の対象やリスクについて理解を深め、適切な申告と対応を心掛けることが大切です。