年末調整と確定申告の関係

「年末調整」とは、会社が従業員の所得税を調整するために行う手続きです。毎月の給料から源泉所得税が引かれていますが、これはあくまで見込みの税額であり、年末に1年分の所得をもとに正しい税額を計算し直す必要があります。そこで年末調整を行うことで、1年間に多く払いすぎた税金があれば還付され、不足している場合は追加で支払うことになります。年末調整は会社が従業員の代わりに税金の計算をしてくれるので、給与所得者にとって手間がかからず便利な仕組みです。さらに、この手続きを行うことで、確定申告を避けることができるという利点もあります。

一方、「確定申告」は、年末調整では処理しきれないような複雑な税務手続きを行うためのものです。たとえば、自営業者や副業をしている人、2か所以上から給料をもらっている人、医療費控除や住宅ローン控除などの特別な控除を受けたい人が対象となります。確定申告では、まず源泉徴収票をもとに所得を計算し、必要な控除を申請したうえで最終的な税額を確定させます。その結果、税金が多く払われていれば還付され、逆に不足していれば追加納税が必要です。

では、「年末調整」と「確定申告」の違いについてですが、最大の違いは手続きを誰が行うかという点です。年末調整は会社が行うため、給与所得者であれば特別なケースを除いて自分で税金の計算をする必要はありません。一方、確定申告は個人が自分で行うもので、複数の収入源がある人や特別な控除を申請したい人向けの手続きです。また、年末調整は基本的に給与所得者を対象としていますが、確定申告は自営業者や副業者など、さまざまな所得を持つ人が対象になります。

副業をしている人の場合、所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。この際、経費をどれだけ正確に計上できるかがポイントです。ただし、経費として認められるものをきちんと理解しておかないと、最悪の場合、脱税とみなされることもあります。そういったリスクを避けるためにも、税務の専門家に相談するのが良いでしょう。

実務的な注意点としては、まず年末調整を受けたら、会社から受け取る源泉徴収票を必ず確認することが重要です。そのうえで、確定申告をする際には、すべての源泉徴収票をもとに申告します。医療費控除やふるさと納税などの申請を忘れないようにしましょう。また、確定申告には提出期限があるため、計画的に準備を進めることが大切です。期限を過ぎてしまうとペナルティが発生する可能性があるので、早めに対応することをおすすめします。

それでは詳しく見ていきましょう。