「個人事業主として独立したけど、税金の種類が多すぎて何が何だか…」
「売上が伸びて嬉しい反面、一体いくら税金を払うことになるのか不安で仕方がない…」
「合法的に、そして賢く税金を抑える方法はないだろうか?」
ご自身の力で事業を切り盛りされている個人事業主の皆様にとって、「税金」は常に隣り合わせにありながら、その仕組みは非常に複雑で分かりにくいものだと感じているのではないでしょうか。
実は、個人事業主が支払う税金は、主に 「所得税」「住民税」「事業税」「消費税」 の4つに大別されます。そして、これらの税金はそれぞれが独立して計算されるのではなく、すべて「所得税」の計算を起点として、ドミノ倒しのように連動して金額が決まるという、非常に重要な関係性を持っています。
この記事では、税務の専門家が解説する内容を元に、この複雑な個人事業主の税金の仕組みを「世界一わかりやすく」解き明かしていきます。
具体的なシミュレーションを通じて、ご自身の税金がどのように計算されるのかをステップバイステップで理解し、明日から実践できる最強の節税戦略まで、網羅的にご紹介します。
この記事を最後まで読めば、あなたは次のことを手に入れられます。
- 個人事業主にかかる4つの税金の全体像と、それらの深い関係性
- ご自身の状況に当てはめて税金額を予測できる、具体的な計算方法
- 税金の支払いを劇的に減らすための「2大戦略」と「具体的な打ち手」
- 2024年限定の「定額減税」に関する正しい知識と、ご自身への影響
税金の知識は、あなたが汗水流して稼いだ大切なお金と、事業そのものを守るための最強の「武器」です。もう税金の通知に怯える必要はありません。正しい知識を身につけ、賢く事業を成長させていきましょう。
まずは全体像を把握!個人事業主にかかる4つの主要な税金
税金の森で迷子にならないために、まずは地図を手に入れましょう。個人事業主に関わる主な税金は、以下の4つです。
- 所得税:1年間(1月1日~12月31日)の事業の「儲け(所得)」に対してかかる国の税金です。すべての税金計算のスタート地点となります。
- 住民税:お住まいの都道府県・市区町村に納める地方税です。所得税の計算結果を元にして、自動的に算出されます。
- 事業税:法律で定められた特定の業種で、一定以上の「儲け(所得)」がある場合にかかる地方税です。これも所得税の計算プロセスから連動します。
- 消費税:商品やサービスの提供に対してかかる税金です。原則として、2年前の売上が1,000万円を超えた場合などに納める義務が発生します。
ここでの最重要ポイントは、②住民税と③事業税は、①所得税の計算過程で算出された金額をベースに計算されるという点です。つまり、所得税の計算構造を理解し、そこをコントロールすることが、税金全体を最適化する鍵となるのです。
それでは、この重要な関係性を深く理解するために、具体的な数字を使ったシミュレーションで、税金計算の全プロセスを追体験してみましょう。
【シミュレーション】売上1000万円の個人事業主の税金はこう決まる!
ここでは、ある個人事業主のモデルケースを使い、年間の売上が1,000万円の場合に、一体いくらの税金を支払うことになるのかを具体的に見ていきましょう。
【モデルケースのプロフィール】
- 事業形態:個人事業主
- 年間売上:1,000万円
- 年間経費:400万円
- 申告方法:e-Taxによる青色申告(65万円控除)
- その他:独身、扶養家族なし
このモデルケースを元に、所得税の計算から順番に、一つずつ丁寧に解説していきます。
STEP1: 売上から経費を引いて「所得」を計算する
税金計算のすべての始まりは、事業の「儲け」を正確に把握することからスタートします。この儲けのことを、会計や税務の世界では 「所得(しょとく)」 と呼びます。計算は非常にシンプルです。
- 計算式:売上 − 経費 = 所得(事業所得)
- シミュレーション:1,000万円 − 400万円 = 600万円
この600万円という数字が、これから始まる長い税金計算の旅の出発点となる、最初の重要な数字です。
STEP2: 青色申告特別控除を引く(節税の第一歩)
次に、個人事業主が受けられる最大の節税メリットの一つである 「青色申告特別控除」 を、先ほど計算した所得から差し引きます。
青色申告とは、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従って日々の取引をきちんと帳簿につけ、その帳簿に基づいて確定申告を行う制度です。この手間をかける代わりに、税金面で非常に大きな優遇措置が受けられます。
その最大の特典が「青色申告特別控除」です。控除額は、申告の条件によって以下のように変わります。
申告方法 | 控除額 | 摘要 |
e-Tax(電子申告) | 65万円 | 最も節税効果が高い方法です。 |
税務署へ紙で提出 | 55万円 | 複式簿記での記帳が必須です。 |
簡易簿記で申告 | 10万円 | 帳簿付けが簡単な分、控除額は低くなります。 |
白色申告 | 0円 | 残念ながら、この控除の特典はありません。 |
今回のモデルケースではe-Taxで申告しているため、最大の65万円を控除できます。
- 計算式:所得 − 青色申告特別控除 = 控除後の所得
- シミュレーション:600万円 − 65万円 = 535万円
いかがでしょうか。青色申告という制度を利用するだけで、まるで65万円分の経費が追加で認められたかのような、絶大な効果が生まれます。まだ白色申告をされている方は、今すぐにでも青色申告への切り替えを検討する価値が十分にあります。
STEP3: 「所得控除」を引いて「課税所得」を算出する
次に、納税者一人ひとりの個人的な事情を税金の計算に反映させるための 「所得控除」 を差し引きます。
所得控除は、納税者本人やその家族の状況(社会保険料の支払いや生命保険の加入など)に応じて所得から差し引けるもので、全部で15種類も用意されています。これを引くことで、最終的に税率をかける対象となる金額、すなわち 「課税所得」 を算出します。
モデルケースで受けられる所得控除は、主に以下の3つです。
- 基礎控除(48万円)
所得が2,400万円以下の納税者であれば誰でも無条件に受けられる、最も基本的な控除です。 - 社会保険料控除(60万円)
ご自身で支払った国民年金保険料や国民健康保険料の年間合計額が、全額控除の対象となります。今回のモデルでは、月額(年金2万円+国保3万円)×12ヶ月で年間60万円を支払っていると仮定します。 - 生命保険料控除(最大12万円)
生命保険、介護医療保険、個人年金保険などに加入している場合に受けられる控除です。支払った保険料に応じて計算され、3つの保険料を合わせて最大で12万円が控除されます。
これらを合計すると、このモデルケースで適用される所得控除の合計額は、
- 所得控除合計:48万円 + 60万円 + 12万円 = 120万円
となります。この所得控除の合計額を、STEP2で計算した所得(535万円)から差し引きます。
- 計算式:控除後の所得 − 所得控除の合計額 = 課税所得
- シミュレーション:535万円 − 120万円 = 415万円
この415万円という数字こそが、税率を掛けるための土台となる最も重要な 「課税所得」 です。この金額が小さければ小さいほど、最終的に支払う税金は少なくなるということを、ぜひ覚えておいてください。
【補足】知っておきたいその他の主な所得控除今回のモデルでは対象外でしたが、他にも以下のような所得控除があります。ご自身が対象になるものがないか、一度チェックしてみることを強くおすすめします。
- 医療費控除:年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合に受けられます。生計を同一にする家族の分も合算可能です。
- 配偶者控除/配偶者特別控除:配偶者の所得が一定額以下の場合に受けられます。
- 扶養控除:16歳以上の子どもや親族を養っている場合に受けられます。
- 小規模企業共済等掛金控除:後ほど詳しく解説する「小規模企業共済」や「iDeCo」の掛金全額が控除対象となる、非常に強力な控除です。
- 寄付金控除:国や地方公共団体、特定の法人などに寄付をした場合に受けられます(ふるさと納税もこの一種です)。
STEP4: 「課税所得」に税率をかけて「所得税」を計算する
いよいよ所得税計算の最終ステップです。STEP3で算出した「課税所得」に、所得税の税率を適用して、最終的な税額を決定します。
日本の所得税は 「超過累進課税」 という方式が採用されています。これは、所得が高くなればなるほど、その高い部分に対してより高い税率が適用されるという、階段状の仕組みです。
【所得税の速算表(令和6年分)】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
今回の課税所得は415万円ですので、上記の表の上から3番目、「330万円超 695万円以下」の区分に該当します。適用される税率は20%、速算表の控除額は42万7,500円です。
- 計算式:課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税額
- シミュレーション:415万円 × 20% − 42万7,500円 = 40万2,500円
これで、このモデルケースの年間の所得税額は40万2,500円と確定しました。
所得税だけではない!連動して決まる住民税と事業税
所得税の計算、大変お疲れ様でした。しかし、個人事業主の納税義務はこれで終わりではありません。ここからが、税金の連動性を理解する上で非常に重要なパートです。先ほど計算した所得税のプロセスを元に、 「住民税」と「事業税」 が自動的に計算されていきます。
住民税の計算方法(課税所得の約10%)
住民税の計算は、所得税の計算結果を使えば比較的シンプルに概算できます。基本的には、所得税の計算で算出した 「課税所得(この例では415万円)」 を元に計算されます。
- 計算の仕組み:課税所得 × 税率(一律約10%) + 均等割
税率は、お住まいの地域によってわずかに異なりますが、都道府県民税と市区町村民税を合わせて、おおむね 10% です。これに、所得にかかわらず定額で課される「均等割(年間5,000円程度)」が加わります。
- シミュレーション:415万円 × 10% = 41万5,000円
つまり、このモデルケースの住民税は、年間で約41万5,000円となります。(均等割を加味すると約42万円)
【注意点】
厳密に言うと、所得税と住民税では、基礎控除や生命保険料控除などの所得控除の金額が若干異なります(例:住民税の基礎控除は43万円)。そのため、完全に「課税所得×10%」とはならず多少の誤差は生じますが、「だいたい課税所得の10%」と覚えておけば、納税額の計画を立てる上では十分役立つ知識です。
事業税の計算方法(事業所得から290万円を引いて計算)
事業税は、法律で定められた70の業種(法定業種)に対して、所得が一定額を超えた場合に課される地方税です。
ここで注意すべきは、事業税の計算で使う所得は、STEP2の青色申告特別控除を引く前の所得、つまり 「事業所得(今回の例では600万円)」であるという点です。ここから、事業を行うすべての人に認められる「事業主控除」として、一律で290万円 を差し引くことができます。
- 計算式:(事業所得 − 事業主控除290万円) × 税率
税率は業種によって3%〜5%と異なりますが、コンサルタント、デザイナー、ITエンジニアなど多くの業種は 5% が適用されます。
- シミュレーション:(600万円 − 290万円) × 5% = 15万5,000円
したがって、このモデルケースの事業税は15万5,000円となります。
この290万円の事業主控除という大きな控除枠があるため、年間の事業所得が290万円以下の方は、事業税を支払う必要はありません。
消費税の納税義務とインボイス制度の影響
最後に、4つ目の税金である消費税についても確認しておきましょう。
消費税は、原則として2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合に、その年から納税義務が発生します(これを課税事業者と呼びます)。今回のモデルケースでは、2年前の売上は1,000万円未満だったと仮定するため、原則として納税義務はありません(免税事業者)。
ただし、2023年10月から始まった インボイス制度(適格請求書等保存方式) に登録した場合は、売上規模にかかわらず課税事業者となり、消費税を納める必要があります。
もし、このモデルケースの方がインボイスに登録し、納税額の負担を期間限定で軽減できる 「2割特例」 を利用したとすると、納税額は以下のようになります。
- 計算式:売上にかかる消費税額 × 20%
- シミュレーション:(1,000万円 × 10%) × 20% = 20万円
インボイスに登録している場合は、約20万円の消費税の納税が追加で発生することになります。ご自身の状況に合わせて、この点も考慮に入れる必要があります。
【合計税額】シミュレーション結果のまとめ
それでは、今回のシミュレーションにおける年間の税金合計額を見てみましょう。(消費税は免税事業者と仮定)
- 所得税:402,500円
- 住民税:約 415,000円
- 事業税:155,000円
- 合計税額:約 972,500円
売上1,000万円、利益(所得)600万円の個人事業主は、年間で約97万円もの税金を支払うことになります。確定申告で所得税を納めた(あるいは還付された)後、忘れた頃にやってくる住民税や事業税の納付書を見て、その金額に愕然とする方は少なくありません。
しかし、ご安心ください。この税金の仕組みを理解した今、あなたは 「どこをコントロールすれば税金が安くなるか」 という、節税の核心に気づいているはずです。
【結論】節税の鍵は2つ!税金を劇的に減らす最強戦略
節税の結論は、驚くほどシンプルです。それは、すべての税金計算の源流である 「所得税の計算プロセス」に合法的に介入すること です。
具体的には、以下の2つの数値をコントロールすることが、最も効果的で王道の節税戦略となります。
- 経費を増やす → 所得が減る → 事業税・所得税・住民税がすべて連動して減る
- 所得控除を増やす → 課税所得が減る → 所得税・住民税が減る
この2大戦略に基づき、個人事業主が今すぐ取り組むべき具体的な打ち手を、奥義としてご紹介します。
戦略①:経費を漏れなく計上し、所得を直接圧縮する
節税の基本中の基本であり、最も重要なのが「事業に関連する支出を経費として漏れなく計上する」ことです。経費を1万円増やすだけで、あなたの所得税率・住民税率(合わせて30%と仮定)によっては、3,000円の税金を減らすことができます。
特に見落としがちなのが、プライベートの支出と事業の支出が混在している 「家事按分(かじあんぶん)」 できる経費です。
- 家賃・光熱費:自宅を事務所として使っている場合、仕事で使っている床面積の割合やコンセントの数、使用時間など、合理的な基準で家賃や電気代、通信費の一部を経費にできます。
- 自動車関連費:プライベートと兼用している自家用車も、事業での走行距離の割合などに応じて、ガソリン代、保険料、駐車場代、さらには車両の減価償却費などを経費にできます。
これは、将来のリスクに備えながら、今期の利益を大きく圧縮できる非常に強力な節税策です。セーフティ共済は、取引先の倒産といった不測の事態に備えるための制度ですが、その最大の魅力は年間の掛金(最大240万円)を全額必要経費に算入できる点にあります。
所得600万円の年に、もし上限の240万円を掛ければ、所得は360万円まで一気に圧縮され、税額を劇的に下げることが可能です。
しかも、この掛金は消えてなくなるわけではなく、共済制度内に積み立てられていき、加入から40ヶ月以上が経過すれば、解約時に掛金の全額が戻ってきます(解約手当金)。ただし、解約した年の利益(雑収入)として課税されるため、「利益が多く出た年に加入し、赤字の年や事業をたたむ年に解約して利益と相殺する」といった出口戦略を考えて活用することが重要です。
配偶者や15歳以上の親族が、あなたの事業を専ら手伝っている場合、その働きに見合った給与を支払い、 「青色事業専従者給与」 として全額を経費にすることができます。
これにより、ご自身の高い税率が適用される所得を、より低い税率が適用される家族に分散させ、世帯全体で見たときの税負担を大きく軽減する効果が期待できます(所得分散)。
戦略②:所得控除をフル活用し、課税対象額を減らす
経費の次にコントロールすべきが、15種類ある「所得控除」です。所得控除を増やすと、税率をかける手前の「課税所得」が直接減るため、所得税と住民税を効率的に減らすことができます。
これは専門家の多くが 「個人事業主のための退職金制度」 と呼ぶ、節税効果が非常に高い制度です。
掛金は月額1,000円から7万円まで自由に設定でき、年額で最大84万円まで拠出可能です。そして、その支払った掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除されます。
課税所得415万円の方であれば、仮に年84万円を掛けると、課税所得は331万円まで減少します。所得税率20%と住民税率10%を合わせると、約25万円(84万円×税率30%)もの節税に繋がります。
掛金は将来、事業を廃業した際や退職した際に、退職金(共済金)として受け取れるため、目先の節税をしながら将来の資産形成ができる、まさに一石二鳥の制度です。
iDeCoも小規模企業共済と同様に、掛金の全額が所得控除の対象となります。個人事業主の場合、月額最大6.8万円、年間で最大81.6万円まで拠出可能です。
さらに、iDeCoのすごいところは、掛金の所得控除だけでなく、投資で得られた利益(運用益)もすべて非課税になるという点です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoならそれがゼロになります。老後資金の準備をしながら、入口(掛金)と運用中(利益)の両方で税金の優遇を受けたい方には最適な制度です。
戦略③:税額から直接引ける「税額控除」も最大限活用する
最後に、計算された税金そのものから直接差し引ける、最も節税効果が高い 「税額控除」 も忘れてはいけません。
- ふるさと納税:応援したい自治体に寄付をすると、自己負担額2,000円を除いた全額が、翌年の住民税などから控除されます。返礼品がもらえるため、実質2,000円で様々な商品を手に入れられる、非常にお得な制度です。
- 住宅ローン控除:住宅ローンでマイホームを購入した場合、年末のローン残高の0.7%を、最大13年間にわたって所得税額から直接控除できます。節税額が非常に大きくなるため、対象となる方は絶対に忘れないようにしましょう。
【2024年限定】定額減税の仕組みと個人事業主への影響
最後に、2024年限定で実施される 「定額減税」 についても正しく理解しておきましょう。
- 減税額:納税者本人1人あたり合計4万円(内訳:所得税3万円、住民税1万円)
- 対象者:合計所得金額が1,805万円以下の納税者
個人事業主の場合、この減税は確定申告などを通じて行われます。所得税から3万円、住民税から1万円が差し引かれますが、もし計算した税額が3万円に満たず、減税しきれない場合はどうなるのでしょうか?
その場合でも、減税しきれなかった差額分は「調整給付金」としてお住まいの市区町村から現金で支給されることになっています。そのため、「定額減税の恩恵を受けられない」ということはなく、誰もが公平に4万円分の支援を受けられる仕組みになっていますので、ご安心ください。
まとめ:税金の知識はあなたの事業を守る最強の武器です
今回は、個人事業主の税金の複雑な仕組みと、具体的な節税戦略について、専門家の解説を元に徹底的に紐解いてきました。最後に、今日の重要なポイントを振り返りましょう。
- 個人事業主の税金は「所得税」「住民税」「事業税」「消費税」の4つが基本です。
- 住民税と事業税は、すべて「所得税」の計算から連動して決まるという関係性を理解することが最も重要です。
- 税金計算の流れは「①所得の確定 → ②青色申告控除 → ③所得控除 → ④課税所得の算出 → ⑤税率をかけて税額決定」というステップで進みます。
- 節税の鍵は、この計算の源流である「経費」と「所得控除」を、使える制度をフル活用して最大化することに尽きます。
- 具体的な打ち手として「セーフティ共済」「小規模企業共済」「iDeCo」「ふるさと納税」など、国が用意した有利な制度を漏れなく活用しましょう。
税金は、ただ漫然と支払うものではありません。その仕組みを正しく理解し、国が用意してくれている優遇制度を賢く活用することで、手元に残る大切なお金を大きく増やすことが可能です。
今日学んだ知識を元に、ご自身の事業で今すぐ使える節税策がないか、ぜひ一度見直してみてください。その小さな一歩が、あなたの事業の未来をより豊かで、より安定したものに変えてくれるはずです。