今回は**「自分自身にもクロージャー効果がかかる」**というテーマに絞って、がっつり深掘りしていきます。
起業・法人化・マイクロ法人運営をしていると、
「外からどう見られるか」
「信用をどう得るか」
に意識が向きがちなんですが、実はそれ以上に重要なのが、
**“自分の脳と心がどう変わるか”**なんですよね。
クロージャー効果は、マーケティングや営業の話として語られることが多いですが、
起業家にとって本当に怖くて、そして本当に使えるのは、
自分自身に対して作用するクロージャー効果です。
今日はそこを、経験則も交えながら、かなり丁寧に解説していきます。
クロージャー効果は「他人向け」だけではない
まず大前提として。
クロージャー効果は
「人は未完了な状態に不安や違和感を覚え、完了した状態で安心する」
という心理効果です。
ここで言う「人」には、当然ですが
自分自身も含まれます。
にもかかわらず、多くの起業家は、
- クロージャー効果=営業テクニック
- クロージャー効果=顧客心理の話
としてしか捉えていません。
でも実際は、
起業家本人にかかるクロージャー効果のほうが、
事業の成否に与える影響は圧倒的に大きい
と感じています。
なぜなら、
起業は「自分との心理戦」が9割だからです。
起業初期の正体は「終わらない未完了タスク」
起業した直後の状態を、冷静に言語化するとこうなります。
- 事業コンセプトは仮
- 商品・サービスも仮
- 価格も仮
- Webサイトも仮
- 肩書きも仮
- 収入も仮
- 将来設計も仮
つまり、
人生全体が巨大な「未完了タスク」状態になります。
これ、かなりストレスがかかります。
人間の脳は、
- 未完了
- 未確定
- 未決定
が積み重なるほど、
エネルギーを無駄に消耗する仕組みになっています。
起業初期に疲れやすい理由、
行動量が落ちる理由、
判断が遅くなる理由の多くは、
能力不足ではなく、未完了ストレスなんです。
「まだ途中」という状態が心を弱くする
個人事業主で起業した場合、よくある心理がこれです。
- 「まだ準備段階だし」
- 「本格的にやってるわけじゃないし」
- 「様子見だから」
- 「ダメなら戻ればいい」
これ、一見するとリスク管理ができているように見えます。
でも脳の中では、
起業=未完
本気モード=未解禁
という状態が続いてしまう。
するとどうなるか。
- 決断が遅くなる
- 投資を渋る
- 行動にブレーキがかかる
- 責任を100%引き受けきれない
つまり、
常に半身で戦う状態になるんですね。
これはメンタルが弱いからではありません。
クロージャー効果が「未完了側」に働いているだけです。
株式会社をつくると何が起きるのか
ここで株式会社をつくると、何が起きるか。
事実として変わるのは、
- 法人格ができる
- 登記される
- 代表取締役になる
- 定款が存在する
- 廃業や解散には手続きが必要になる
でも、
本当に大きく変わるのは心理状態です。
多くの人が、口には出さなくても、
心の奥でこう感じます。
- 「もう始まってしまった」
- 「途中でなかったことにはできない」
- 「これは仕事ではなく“事業”だ」
- 「自分の人生の一部として組み込まれた」
ここで、
起業という行為が“完了したイベント”として脳に認識されるんです。
これが、自分自身にかかるクロージャー効果です。
「覚悟が決まる」は精神論ではない
よく、
- 「覚悟が決まる」
- 「腹をくくれる」
- 「スイッチが入る」
と言われますが、
これを精神論で片づけるのはもったいないです。
実態は、
未完了だった起業タスクが、
法人化によって一度「完了」する
ただそれだけ。
- 起業するかどうか → 完了
- 事業としてやるかどうか → 完了
- 逃げ道を残すかどうか → 完了
だから、
次のタスクに集中できるようになる。
意志が強くなったわけではなく、
脳のリソースが解放されただけなんです。
自分への言い訳ができなくなる効果
これはかなり大きいです。
個人事業主のときは、
- 「まだ準備中だから」
- 「今はテスト段階だから」
- 「本気出すのは来月から」
と、いくらでも自分に言い訳ができます。
でも株式会社をつくると、
- 銀行口座がある
- 税務署が見ている
- 決算期がある
- 社会制度の中に組み込まれる
結果として、
自分に対して
「これは仕事じゃない」という言い逃れができなくなる
これもクロージャー効果です。
「もう終わった議論」を
脳が蒸し返さなくなる。
行動スピードが上がる理由
法人化すると、なぜか行動が早くなった、
という話をよく聞きます。
これも理由はシンプルで、
- やるかやらないか → 完了
- 続けるかやめるか → 完了
しているから。
迷いは、
未完了タスクから生まれます。
クロージャー効果によって、
「やる前提」が固定される
→ 迷う余地が減る
→ 行動が早くなる
という流れが自然に起きます。
無理やり自分を追い込んでいるわけではありません。
メンタルが安定するという意外な効果
意外かもしれませんが、
株式会社をつくったほうがメンタルが安定するケースも多いです。
理由は、
- いつ引き返すか
- どこまでやるか
- これは本気なのか
といった、
グレーな問いが消えるから。
未完了な問いは、
常に脳内でCPUを食い続けます。
クロージャー効果によって、
- 問いが終わる
- 脳が安心する
- 不安が減る
結果として、
淡々とやるべきことに集中できる。
これ、長期戦になる起業ではかなり重要です。
自己イメージが変わる影響
法人化すると、
自分のセルフイメージも静かに変わります。
- フリーランス → 経営者
- 仕事をする人 → 事業を運営する人
- 稼ぐ人 → 継続させる人
これは肩書きの問題ではなく、
自分の中の物語が完結するから。
「起業したい人」
「独立を考えている人」
という未完の状態から、
「起業した人」
「会社を経営している人」
という完了形に変わる。
これが、
意思決定の基準そのものを変えます。
クロージャー効果は戻れない力を持つ
一度、完結した認識を持つと、
人は簡単には元に戻れません。
- 「起業ごっこ」
- 「とりあえず」
- 「片手間」
という感覚が、
しっくりこなくなる。
これを重たく感じる人もいますが、
長期的に見ると、
自分をブレさせない
非常に強いアンカー
になります。
マイクロ法人との相性がいい理由
ひとり会社・マイクロ法人は、
- 実務は軽い
- 器は完成形
- 心理的効果は大きい
という、
クロージャー効果を最大化しやすい形態です。
無理に背伸びせず、
でも中途半端にもならない。
自分に対して、
「これはもう始まっている」
と静かに言い聞かせる仕組みとして、
かなり優秀です。
まとめ:自分を動かす最強の心理装置
最後にまとめます。
- クロージャー効果は自分自身にも強く作用する
- 起業初期は未完了ストレスが非常に大きい
- 法人化は起業というイベントを一度「完了」させる
- 覚悟が決まるのは精神論ではなく脳の構造の話
- 言い訳が減り、行動が早くなり、メンタルが安定する
- 自己イメージが変わり、長期戦に耐えられる
起業において本当に怖いのは、
失敗ではなく、
中途半端な未完状態のまま消耗し続けることです。
クロージャー効果を味方につけて、
まずは「始めた」という状態を完結させる。
それだけで、
起業の難易度は驚くほど下がります。