あなたの会社にも潜む「組織を崩壊させる人」の7つの特徴と、経営者が取るべき唯一の対策

法人設立

「なぜか、最近チームの雰囲気が悪い…」
「優秀な社員が、次々と辞めていってしまう…」
「特定の社員が入社してから、社内のトラブルが増えた気がする…」

会社の経営者であれば、組織の一体感や良好な人間関係が、事業の成長にとっていかに重要であるかを、身をもって感じていることでしょう。しかし、どんなに素晴らしい理念を掲げ、良い仕組みを整えても、たった一人の 「危険人物」 の存在が、組織全体を蝕み、崩壊へと導いてしまうことがあります。

彼らは、一見すると優秀に見えたり、悪気がなさそうに見えたりするため、その危険性に気づくのが遅れがちです。そして、気づいた時には、すでに組織の空気は淀み、優秀な社員は去り、取り返しのつかない状況に陥っている…というケースは、決して少なくありません。

この記事では、これまで1万社以上の企業を見てきた経営のプロの視点から、あなたの会社を内側から破壊する可能性のある「危険人物」の7つの典型的なタイプとその特徴を、具体的に解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、あなたは以下の知識と具体的なアクションプランを手に入れることができます。

  • 組織に不協和音をもたらす「7つの危険人物タイプ」を、具体的な言動レベルで理解できます。
  • 即戦力として採用したはずの「同業者からの転職組」が、なぜ組織のガンになり得るのか、その理由がわかります。
  • 「少額だから」と見過ごしがちな「横領」が、なぜ組織のモラルを崩壊させるのかを学べます。
  • 「権利主張の強い社員」や「嘘をつく社員」に、どう対処すべきかのヒントを得られます。
  • そして、これらの問題の根源にある「社長自身の責任」と向き合い、健全な組織文化を築くための、唯一にして最も重要な対策を知ることができます。

あなたの会社は、大丈夫ですか?この記事を、自社の組織を診断するための「健康診断チェックリスト」としてご活用ください。問題の早期発見と早期治療が、あなたの会社を崩壊の危機から救う、唯一の道です。

あなたの会社を蝕む「7つの危険人物」タイプ

それでは、組織に深刻なダメージを与える可能性のある、7つの危険人物タイプを、一つずつ見ていきましょう。

タイプ1:「前の会社ではこうでした」が口癖の、同業者からの転職組

中途採用、特に同業者からの転職者は、業界知識やスキルが豊富で、即戦力として大きな期待が寄せられます。しかし、この 「即戦力」という期待が、時として組織を蝕む毒に変わる ことがあります。

【危険な兆候】

  • 「前の会社では、こうやっていました」 と、事あるごとに前職のやり方を持ち出す。
  • 自社の文化や、長年かけて築き上げてきた業務プロセスを尊重せず、自分のやり方を一方的に押し付けようとする。
  • 「この会社のやり方は非効率だ」と、既存の社員を見下すような態度を取る。

もちろん、彼らの提案の中には、自社の業務を改善するための有益なヒントが含まれていることもあります。しかし、問題なのはその 「押し付けがましい態度」 です。

新しい環境に適応し、まずは自社のやり方を理解しようという謙虚な姿勢がなく、ただ自分の過去の成功体験だけを振りかざす人物は、既存の社員たちの反感を買い、職場の雰囲気を著しく悪化させます。彼らは、新しい風を吹き込む「改革者」ではなく、和を乱す「厄介者」となってしまうのです。

タイプ2:「これくらいならバレない」と考える、少額横領犯

「横領」と聞くと、ニュースで報道されるような、数億円規模の大きな事件を想像するかもしれません。しかし、中小企業でより頻繁に、そして深刻な問題となるのは、 数千円、数万円単位の「少額横領」 です。

【危険な兆候】

  • レジの現金が、頻繁に合わなくなる。
  • 経費精算で、不自然な領収書(私的な飲食代など)が頻繁に提出される。
  • 会社の備品(切手、文房具など)が、不自然な速さでなくなる。

特に、現金を直接扱う業種(飲食、小売など)や、経理を一人に任せきりにしている会社では、このリスクは格段に高まります。

最初は、若い社員が「これくらいならバレないだろう」という軽い気持ちで始めた、ほんの出来心かもしれません。しかし、その小さな不正を一度見逃してしまうと、「この会社は、少しくらいごまかしても大丈夫なんだ」という空気が組織全体に蔓延し、モラルの崩壊を引き起こします。やがて、その不正はエスカレートし、気づいた時には会社に大きな損害を与えている、という事態になりかねません。

「性善説」で社員を信じることは大切ですが、不正が起こり得ない仕組み(現金管理の徹底、複数人でのチェック体制など)を構築することも、経営者の重要な責務です。

タイプ3:「それは私の権利です」と主張する、権利至上主義者

労働者の権利を守ることは、もちろん非常に重要です。しかし、その権利の主張が、度を超えてしまう人物がいます。

【危険な兆候】

  • 会社の業績や、チーム全体の状況を全く考慮せず、自分の権利(労働時間、休憩時間、有給休暇など)だけを、法律を盾に細かく主張する。
  • 「休憩時間は1分たりとも無駄にしたくないので、電話は取れません」
  • 「定時の1分前に、パソコンの電源を落として帰り支度を始める」
  • 同僚が忙しくしていても、「自分の仕事は終わったので」と、手伝おうともしない。

彼らの主張は、法律上は「正しい」のかもしれません。しかし、その「正しさ」の裏には、共に働く仲間への配慮や、組織の一員としての協調性が著しく欠けています。

このような人物が一人いるだけで、職場の空気はギスギスし、「あの人だけズルい」「真面目に働くのが馬鹿らしい」と感じる社員が増え、チーム全体の士気と生産性は著しく低下してしまうのです。

タイプ4:「社長はそう言ってますけど…」と囁く、裏切り者の幹部

社長と社員の間に立ち、経営の意思を現場に浸透させる「幹部社員」。彼らは、本-来、社長の最も信頼できる右腕であるべき存在です。しかし、この幹部が、組織を内側から崩壊させる「最大のガン」となることがあります。

【危険な兆候】

  • 社長との会議では「分かりました」と賛同するが、自分の部下に対しては、「社長はああ言ってるけど、俺はこう思うんだよな」と、社長の方針とは異なる、あるいは否定的な意見を吹聴する。
  • 自分の派閥を作り、他の部署や幹部と対立する。
  • 部下からの情報を、自分に都合よく加工して社長に報告し、社長の判断を誤らせる。

社長の決定は、たとえ自分の意見と違っても、組織の決定として部下に伝え、実行させるのが幹部の役割です。その役割を放棄し、自分の意見を優先する幹部は、組織の統率を乱し、社員の間に不信感と混乱を生み出します。

このような「裏切り者の幹部」の存在は、組織にとって致命傷となり得ます。

タイプ5:「実は、前職で…」と経歴を盛る、嘘つき

採用面接は、応募者が自分をアピールする場です。多少、話を「盛る」ことは誰にでもあるかもしれません。しかし、その度が過ぎ、明らかに虚偽の経歴や実績を語る人物には、最大限の注意が必要です。

【危険な兆候】

  • 過去の実績について、具体的なエピソードや数字を尋ねると、話が曖昧になったり、矛盾が生じたりする。
  • 転職理由が、他責(前の会社や上司が悪かった)なものばかりである。
  • 入社後、面接で語っていたほどのスキルや能力が、全く発揮されない。

面接という重要な場面で平気で嘘をつける人物は、入社後も、仕事のミスを隠すため、あるいは自分を良く見せるために、日常的に嘘をつく可能性が非常に高いです。

「嘘をつくこと」が癖になっている社員は、信頼関係の構築が困難であり、遅かれ早かれ、何らかの大きな問題を引き起こします。面接の段階で、突っ込んだ質問を重ね、相手の言動に矛盾がないかを注意深く観察し、見抜くことが重要です。

タイプ6:「これは全部、私がやりました!」と豪語する、手柄泥棒

チームで成果を出すことよりも、自分が評価されることを最優先に考える、自己顕示欲の塊のような人物です。

【危険な兆aho】

  • チームメンバーのアイデアや、部下の成果を、あたかも自分一人の手柄であるかのように上司に報告する。
  • 会議の場などで、他人の意見を否定してまで、自分の意見を過剰にアピールする。
  • 実際には大した成果が出ていないのに、プレゼンテーションや報告書だけは非常に上手で、自分を大きく見せようとする。

このような「手柄泥棒」の存在は、真面目に働く社員のモチベーションを著しく削ぎます。「どうせ頑張っても、手柄はあの人に持っていかれる」と感じた社員は、やがて努力することをやめてしまうでしょう。

チームの調和を乱し、組織全体のパフォーマンスを低下させる、非常に厄介な存在です。

タイプ7:「でも」「だって」が口癖の、謝れない人

仕事にミスはつきものです。重要なのは、ミスを犯した後に、どう対応するかです。しかし、中には、自らの過ちを認め、素直に「申し訳ありませんでした」と謝罪することができない人物がいます。

【危険な兆候】

  • ミスを指摘されると、 「でも、〇〇だったので」「だって、〇〇さんがこう言ったから」 と、言い訳や他責の言葉が真っ先に出てくる。
  • 自分の非を認めず、トラブルの原因を隠そうとしたり、矮小化しようとしたりする。
  • 謝罪をしても、心がこもっておらず、反省の色が見られない。

誠実さに欠けるこの態度は、周囲の信頼を失うだけでなく、小さな問題を、より大きなトラブルへと発展させる原因となります。問題の早期解決を妨げ、組織の信頼関係を根底から破壊してしまう危険性をはらんでいます。

社長の責任と、唯一にして最大の対策

ここまで、7つの危険人物タイプを見てきました。あなたの会社に、思い当たる人物はいませんでしたか?

しかし、ここで最も重要なことをお伝えしなければなりません。
それは、 「問題社員を採用してしまったのは、他の誰でもない、社長であるあなた自身の責任である」 という、厳しい事実です。

社員の採用は、経営者が行う、最も重要な意思決定の一つです。その意思決定の結果、組織に問題が生じたのであれば、その責任は、最終的にすべて経営者が負うべきなのです。

では、経営者はどうすればよいのでしょうか。

「教育すれば、人は変わるはずだ」

そう信じたい気持ちは、痛いほどわかります。しかし、残念ながら、一度成人した人間の根本的な性格や価値観を、会社の教育だけで変えることは、極めて困難です。

問題社員を更生させようと多大な時間とエネルギーを費やした結果、状況は改善せず、その間に他の優秀な社員が疲弊し、辞めていってしまう…。これが、多くの会社で繰り返されてきた悲劇です。

健全な組織文化を守るために、経営者が取るべき、唯一にして最大の対策。
それは、 問題の兆候に早期に気づき、改善が見られない場合は、非情な決断であっても、その社員に辞めてもらう(解雇する) ことです。

腐ったリンゴは、一つ箱に入っているだけで、周りの健康なリンゴまで、あっという間に腐らせてしまいます。組織も、それと全く同じです。

もちろん、そのためには、就業規則の整備や、適切な手順を踏むといった、法的な準備も必要です。しかし、組織全体を守るためには、時に、その「非情な決断」を下す勇気が、経営者には求められるのです。

まとめ:健全な組織は、「採用」と「退出」のサイクルから生まれる

今回は、あなたの会社を内側から崩壊させる可能性のある、「危険人物」の7つのタイプとその対策について解説しました。

  • 「同業者からの転職組」「横領犯」「権利至上主義者」「裏切り者の幹部」「嘘つき」「手柄泥棒」「謝れない人」、これらの特徴を持つ人物には、最大限の注意が必要です。
  • これらの問題の根源は、すべて「採用の失敗」にあります。そして、その責任は、最終的に経営者自身にあります。
  • 教育で人を変えることには限界があります。組織を守るためには、問題社員に早期に気づき、改善が見られない場合は「解雇」するという、非情な決断を下す勇気が必要です。

経営とは、社員の入社と退社を繰り返す、終わりのない旅のようなものです。その旅の中で、私たちは多くの成功と、同じくらいの失敗を経験します。

重要なのは、採用の失敗から目を背けず、それを「学び」として、次の採用に活かし、自社の組織文化をより良いものへと、常にアップデートし続ける姿勢です。その絶え間ない努力の先にこそ、社員がいきいきと働き、会社が健全に成長していく未来が待っているのです。

最後までお読みいただくありがとうございました。この記事があなたの経営の一助になれば幸いです。